JIS X 8341-3の解説
JIS X 8341-3(ウェブコンテンツJIS)の概要
ウェブコンテンツJISとは
2004年6月20日に、JIS X 8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針 − 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス − 第3部:ウェブコンテンツ」(以下、「ウェブコンテンツJIS」と略称)が制定されました。
- JISは 日本規格協会「JSA Web Store」 で検索・購入できます
ウェブコンテンツJISは、主に高齢者や障害者及び一時的な障害のある人が、ウェブコンテンツを利用する際のアクセシビリティを確保し、それを向上させるために、ウェブコンテンツの企画、設計、開発、制作、保守及び運用にわたってウェブコンテンツの提供者及び制作者が配慮しなければならない事項について規定するものです。
なぜウェブアクセシビリティがJIS化されたのか
日本は欧米諸国と比べて、急速に高齢化が進んでいます。2015年には国民の4人に1人が65歳以上となると予測されています。
日本の社会がこうした超高齢化に対応するためには、高齢者を含め多くの人々が使いやすい製品、サービス、生活環境の整備が必要になります。パソコンやインターネットの普及で、社会参加の可能性が格段に広がった障害者に対しても同様です。このように、より多くの人が参加できる社会をつくるには、障害者や高齢者の特性を理解し、配慮した製品づくりやサービス提供の計画、つまりアクセシブル・デザインが欠かせません。
こうした点については、2003年6月に経済産業省から発表された日本工業標準調査会消費者政策特別委員会(委員長:松本恒雄 一橋大学大学院教授)による「 高齢者・障害者への配慮に係る標準化の進め方について(提言書) 」に詳しくまとめられていますので、ぜひ参照してみて下さい。
標準化が行われることにより、高齢者・障害者に使いやすく考えられた製品、サービス、生活環境は結果的に、障害のない人々にも使いやすくなる場合が考えられます。アクセシブル・デザインを標準化することは、このような新たな経済的利益をもたらすことも期待されているのです。
JIS制定に至るまでの経緯
高齢社会における望ましい標準化のあり方を見つめて、日本は国際社会の中でも積極的に「規格作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮」の必要性を唱えてきました。
その取り組みの結果、2001年11月に「ISO/IEC ガイド71」が制定され、日本国内の規格としては2003年6月20日に日本工業規格「JIS Z 8071:2003 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針」が制定されました。詳しくは、以下を参照して下さい。
このガイドラインに基づいて、引き続き個別製品やサービスの開発において高齢者・障害者等のニーズに配慮を求める規格の作成が進められています。
一方、高齢者・障害者等への配慮が求められる規格の分野としては、交通施設や建築物などがすぐに思い浮かびますが、情報分野についてもその必要性が認められることから、既に2000年9月には日本規格協会情報技術標準化センター( INSTAC )に「情報バリアフリー実現に資する標準化調査研究委員会」(略称:情報バリアフリー委員会)が設置され、検討が開始されました。この委員会の活動成果は、「情報バリアフリー委員会 報告書」(2001年3月)にまとめられています。
2001年4月からは、正式に政府からの委託を受けて「情報技術分野共通及びソフトウェア製品のアクセシビリティの向上に関する標準化調査委員会(略称:情報バリアフリー委員会)」(委員長:山田肇 東洋大学経済学部教授、国際大学グローバルコミュニケーションセンター副所長)が組織され、JIS原案の作成が開始されました。
情報バリアフリー委員会では、これまで以下の3つの規格作成に取り組んできていますが、そのうちの一つがここで取り上げている「ウェブコンテンツJIS」です。
情報バリアフリー委員会では、検討を深めるために2つのワーキング・グループ(WG)を設置しました。「情報技術分野共通アクセシビリティ標準原案の調査研究」ワーキング・グループ(WG1)と、「ソフトウェア・アクセシビリティ標準原案の調査研究」ワーキンググループ(WG2)です。
ウェブコンテンツJISについては、WG2においてW3C/WAIのWCAG1.0等のガイドラインについての調査分析、標準化課題の抽出や分析などの作業が行われ、具体的な規格の内容検討が進められてきました。
こうして作成が進められたウェブコンテンツJISは、2003年10月24日に日本規格協会のホームページで公開レビューに付され、その後公開レビューで寄せられた意見やWTO/TBT協定に基づく意見受付等の手順を踏み、2004年6月20日に制定されました。
ウェブコンテンツJISの社会的インパクト
基本的にJISへの準拠は任意です。しかし、公的機関や社会的役割の大きい企業のウェブサイトでは、今後ウェブコンテンツJISへの対応が強く求められてくるでしょう。
特に政府や自治体では、ウェブを外部から調達する際にはウェブコンテンツJISへの準拠が必須になってきます。「工業標準化法」第67条(日本工業規格の尊重)では、「国及び地方公共団体は、買入れる鉱工業製品に関する仕様を定めるとき日本工業規格を尊重しなければならない」としています。また、平成7年に調達関係省庁の申し合わせとして定められた、「コンピュータ製品及びサービスの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド」では、調達するコンピュータ製品及びサービスの仕様は、JIS規格、ISO規格に準拠すること等が求められています。
また、民間企業においても、ウェブコンテンツJISは今後、一つのコンプライアンス活動になっていくでしょう。コンプライアンスとは、法を遵守し企業の社会的責任を果たすという意味があります。障害者や高齢者を含めた、より多くの人に情報を伝えることは、企業の社会的責任を果たすことにつながります。
多くの企業が、積極的にウェブアクセシビリティに対応していくことが期待されます。
より詳しくは
アライド・ブレインズ編『2010年改正JIS規格対応 Webアクセシビリティ完全ガイド』が、2010年10月25日に日経BP社から出版されました。
『2010年改正JIS規格対応 Webアクセシビリティ完全ガイド』の詳しいご紹介とご購入の申込は、日経BP書店サイトで行なっております。
『2010年改正JIS規格対応 Webアクセシビリティ完全ガイド』
アライド・ブレインズ 編
日経パソコン 協力
日経BP社 発行
B5変型判 約240頁
ISBN 978-4-8222-6918-0
定価3,990円(税込)
JIS X 8341-3 の解説
このコーナーの目次
- アクセシビリティを学ぶ
- アクセシビリティ実践編
- アクセシビリティガイドライン、モデル解説
- JIS X 8341-3(ウェブコンテンツJIS)の概要
- JIS(日本工業規格)について
- ウェブコンテンツJISの上位規格とその体系
- 連載解説
- 解説コラム
- お悩み相談コーナー
- アクセシビリティガイドライン、モデル解説
- アクセシビリティ用語集
- アクセシビリティリンク集
- アクセシビリティ実践編
![]()
JIS規格改正の解説コラム、セミナー情報、調査結果報告等、公共機関ウェブサイトの品質向上をご支援する最新情報をお届けしています。(購読料:無料)
![]()
サイト内容やJIS規格対応支援等のサービスについてのお問い合わせ、お見積もり・ご相談・ご依頼は以下のお問い合わせフォーム(SSL)で承っております。
運営元
アライド・ブレインズ株式会社
TEL: 03-3261-7431
FAX: 03-3261-7432
e-mail: office@aao.ne.jp
