SEOとアクセシビリティ
第3回「SEOとアクセシビリティの相違点」
執筆担当
長命 洋史
(ちょうめい ひろふみ)
前回は、SEOを作業ベースで見ると、基本的にアクセシビリティ上の対策とよく似ているという点についてご説明しました。しかし、SEO対策はやり方を間違えると、アクセシビリティを低下させてしまうことになってしまいます。今回は、SEO対策に関するアクセシビリティ上の問題点についてご説明したいと思います。
SEO対策=アクセシビリティ対策か?
SEO対策とアクセシビリティ対策はよく似ています。では、SEO対策を行なったら、アクセシビリティ対策を行なったことになるのでしょうか?答えは、「決してそうなるとは限らない」です。また、逆も然りです。
検索エンジンロボットはウェブサイトのテキストを拾い上げてデータベース化を行います。このため、検索エンジンから見たウェブページは、読み上げソフトやテキストブラウザを使うユーザーから見たウェブページとよく似ています。SEO対策は検索エンジンロボットにウェブサイトを重要だと思わせる手法ですから、検索エンジンロボットが読みやすいようにページを作成します。そうすると、結果として読み上げソフトやテキストブラウザに対しても配慮する部分がでてきます。
しかし、アクセシビリティ対策は何も読み上げソフト対策やテキストブラウザ対策だけの話ではありません。色使い、動き、フォームへの配慮、言葉の意味、SEO対策では行わない読み上げソフト・テキストブラウザへの配慮など、SEO対策では取り扱わない問題は数多く存在します。また、昨今総務省から公開された 「みんなの公共サイト運用モデル」 の中心的話題である運用面でのアクセシビリティへの配慮も、SEO対策では扱わない問題です。
前回で述べたとおり、SEOとアクセシビリティは「作業レベルで見れば」よく似ています。しかし、それは一部分の話であり、また、そもそも出発点が全く異なることから、上記のような違いが出てくるわけです。
検索エンジンスパムはアクセシビリティ上も問題
さて、SEOとアクセシビリティの違いについて、まだ述べておかなければならない重要な問題があります。それは、検索エンジン対策に近いものとして多数のサイトで行われている、「検索エンジンスパム」という行為についてです。検索エンジンスパムとは、検索エンジンで上位表示を狙うために、SEO対策で有効とされる手法を過度に行う行為です。 この検索エンジンスパムは、アクセシビリティを著しく低下させるもので、絶対にやってはいけない行為として知っておいて頂きたいと思います。
具体的な検索エンジンスパムには、以下のようなものがあります。
(1)テキスト詰め込みスパム
ページ内にキーワードを過度に埋め込むことで、検索エンジンにそのキーワードについて重点的に書かれたページであると認識させるというものです。キーワードを埋め込む場所には、titleタグ、imgタグ(のalt属性)、metaタグ、pタグなどがあります。
【titleタグへのテキスト詰め込みスパムの例:図1】

(図1の説明:ウィンドウのタイトル表示部分に、「健康食品」というキーワードが多数埋め込まれ、タイトルが非常に長くなっています。読み上げソフトを使ったユーザーにとっては使いにくいページになっています。)
【alt属性へのテキスト詰め込みスパムの例:図2】

(図2の説明:薬品のアイコン画像の代替テキストに、「健康食品」というキーワードが10回以上繰り返して用いられています。読み上げソフトを使うユーザーにとっては使いにくいページになっています。)
(2)過度な重み付け
過度な重み付けとは、強調タグや見出しタグを用いて、特定のキーワードを重要に見せかけるものです。
【過度な重み付けの例】
<h1> <strong> <em> <b> 健康食品の●×屋 </b> </em> </strong> </h1>
(3)隠しテキスト
隠しテキストとは、キーワードを含んだテキストの色を背景色と同色にして見えないようにしたり、テキストを極めて小さいサイズにしたり、キーワードを含んだテキストをマージンなどの設定で画面の外に追いやったり、非表示にしたりという手法です。
(4)リダイレクト
検索エンジンロボット向けに最適化したページを作成し、メタタグのリフレッシュやジャバスクリプトを用いて本当のトップページに自動的に飛ばす方法です。検索エンジンは、検索エンジン向けに最適化されたページを読み込み、検索エンジンの検索結果ページに表示します。しかし、利用者がその検索結果をクリックしてみると、別のページに自動的にジャンプし、別のページが表示されてしまいます。
【リダイレクトの仕組み:図3】

(図3の説明:検索エンジンに対しては、検索エンジン向けに最適化したページを読み込ませ、利用者には検索エンジンが読み込むページとは別のページを見せるという、リダイレクトの仕組みを図示しています。)
検索エンジンスパムには他にも様々な手法がありますが、そのほとんどがアクセシビリティ上好ましくないものです。検索エンジンスパム自体が、利用者がそのページから得られる情報以上に、検索エンジンに対して有効な情報であるかのように見せかけることであるため(つまり、利用者のことを全く無視して作成したページであるため)、当然のことかもしれません。
検索エンジンスパムは、SEOを学び始めた初心者がよくやりがちです。ホームページ担当者の方は、過度なSEOになっていないかチェックするよう心がけてください。 また、検索エンジンスパムは、検索エンジンからペナルティとして、表示順位を落とされたり、表示結果から削除されたりします。上位表示しようとして上位表示から逆に遠ざかってしまう場合もありますので、そういう意味でもお勧めはしません。
なお、検索エンジンスパムについては、SEOとの境目があいまいだったり、検索エンジンによるペナルティが無い場合もあったりと、検索エンジンスパムが横行してしまう背景的な問題も存在します。これについては、また別の機会に詳しくお話したいと思います。
アクセシビリティもアクセス向上の手段
最後に、アクセシビリティの配慮もアクセス向上の手段であるということをご説明したいと思います。SEOが登場して以来、アクセスアップならSEOという認識が極めて強まったように思います。
確かにSEOは、新規ユーザーの獲得には大きな効果を果たします。しかし、長期的な視点で見ると、アクセシビリティやユーザビリティの向上、コンテンツの充実といった面が、アクセス向上にはとても重要になってきます。
SEOが新たなユーザーを獲得する手段なら、アクセシビリティはユーザーを逃がさない手段と言うことができます。アクセスアップ対策を考える際は、ぜひ総合的な見地から検討を行うことをお勧めします。
SEOとアクセシビリティ
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