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アクセシビリティ・ツール導入の留意点

[ 2005年1月5日 ]


2004年6月のJIS X 8341-3の制定を受けて、アクセシビリティ・ツールの提供が活発になってきました。今回は、アクセシビリティ・ツールを導入する際の留意点について考えてみました。

アクセシビリティ・ツール花盛り

ウェブアクセシビリティJISの制定を受けて、大手システム・ベンダーのアクセシビリティ・ソリューション提供が活発になってきました。先鞭をつけたのは日本IBMの「らくらくウェブ散策」で、三越のオンラインショッピングサイトや多くの自治体サイトに採用されています。昨年秋には富士通や日立も製品を発表し、電子自治体関連の展示会では、今やアクセシビリティ・ソリューション花盛りといった感があります。

これらのアクセシビリティ・ソリューションの特徴は、ベンダー各社が提供するアクセシビリティ・ツールを導入先のウェブサイトから利用者のPCへダウンロードさせ、音声読み上げや文字拡大、配色変更などのユーザー支援機能を実現する点にあります。従来の支援技術が障害別に分かれた単機能型だったのに対し、これらのアクセシビリティ・ツールは相当に多機能であり、様々な条件の利用者支援に対応しています。もちろん、これらのアクセシビリティ・ツールが十分に機能するためには、対象ウェブサイトのコンテンツもアクセシブルに作られている必要があります。

アクセシビリティ・ツール導入の留意点

これらのアクセシビリティ・ツールは、個々の製品は優秀なのですが、導入に当たっては支援機能の充実度や完成度とは別の視点からも検討が必要です。

まず、障害者のインターネットユーザーの多くは、すでに必要な支援技術製品を持ち、それらを使ってウェブサイトにアクセスしています。したがって、サイト側で提供するアクセシビリティ・ツールが実際にどのような利用者に役立つものなのか、あるいは利用者がすでに使用している支援技術とバッティングしないか、といった視点での検討が必要になります。

また、提供するアクセシビリティ・ツールの汎用性も考慮する必要があります。現在提供されているアクセシビリティ・ツールの多くは、ユーザー支援機能の有効範囲を、導入対象サイト内に限定してしまっています。高齢者・障害者ユーザーも他のインターネットユーザーと同様、様々なサイトをネットサーフィンしていますが、有効範囲を限定したアクセシビリティ・ツールでは、利用者がリンクを辿って対象サイトの外へ出たとたんに、ユーザー支援機能が無効になったり、通常のブラウザ表示に戻ったりします。次に訪れたウェブサイトでたとえ同様のアクセシビリティ・ツールを提供していたとしても、利用者はウェブサイト毎に別々のアクセシビリティ・ツールをダウンロードしなくてはならず、支援するはずの利用者に対して、かえって負担を強いることにもなりかねません。

職員の意識改革用には有効

このように、特に障害者ユーザー向けの支援提供という面では、対象範囲を限定したアクセシビリティ・ツールの導入には慎重な検討が必要だと思います。しかし、ウェブサイト提供側の職員や一般利用者に対するアピールやアクセシビリティに対する理解の促進のためには、こうしたアクセシビリティ・ツールを目に見える形で提供することは有効だと言えます。

特に、多くのウェブコンテンツを職員が作成している自治体では、アクセシビリティの重要性や対応の基準をこれらのアクセシビリティ・ツールを通じて「目に見える形」で職員に示すことができるメリットは大きいと言えるでしょう。残念ながら現状では、多くの自治体職員にとって障害者のネット利用環境はまったく想像の及ばない世界です。しかし、アクセシビリティ・ツールがウェブサイト上に用意されていれば、これらを通じて対応すべき支援技術環境をある程度知ることができるわけです。ページ公開前のアクセシビリティ・テストについても、その基準となるツールが明確にあることの意味は大きいでしょう。つまり、これらのアクセシビリティ・ツールの「ソリューション」としての価値は、外部利用者に対するものというより、むしろコンテンツ制作を行う内部職員向けの価値が大きいと考えられます。

「なんちゃってバリアフリー」にしないために

このように、サーバー側でアクセシビリティ・ツールを提供する場合、まずそのツールを導入する目的を明確にした上で、検討対象の製品が本当にその目的に合致するソリューションであるのかどうか、よく検討することが必要です。

博報堂でユニバーサルデザインの普及に取り組んでおられる井上滋樹さんの著作に「なんちゃってバリアフリー」という言葉が出てきます。公共施設にせっかく車いす用のスロープがあるのに、そこに放置自転車が置いてあったりして車椅子が通れない。公共施設に貸し出し用の車いすが準備されているのに、タイヤの空気が抜けていていざという時に使えない。このような、形ばかりのバリアフリー対応を障害者は「なんちゃってバリアフリー」と呼ぶのだそうです。

対象サイトを限定したアクセシビリティ・ツールも、その意義と制約をきちんと理解して導入しないと、「なんちゃってアクセシビリティ」と揶揄されることになりかねません。ここでも、利用者の視点を忘れない、アクセシビリティの本質を外さない対応が求められるのです。

参考文献
「ユニバーサルサービスの普及をめざして」
独立行政法人情報通信研究機:情報バリアフリーのための情報提供サイトの連載コーナーより

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