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ウェブアクセシビリティ向上への道 - だれもが使えるサイトを目指して -
No.03ウェブアクセシビリティのJIS規格

[ 月刊『広報』 平成17年10月号掲載 ]

執筆担当
大久保 翌
(おおくぼ あきら)


行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 で連載している「ウェブアクセシビリティ向上への道 – だれもが使えるサイトを目指して -」の記事を、日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

自由を縛る制約ではなく ホームページ進化の手掛かりとして前向きに付き合う

今回は、ウェブアクセシビリティのJIS規格(日本工業規格)JIS X 8341-3について、お話しましょう。

2004年6月に策定されたJIS X 8341-3は、国内のホームページに大きな影響を与え始めています。ホームページの担当者としては、この規格をどのようにとらえ、扱ったらよいのでしょうか。

ホームページの制作と運営についてのJIS規格

2004年6月20日に、JIS X 8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針 ― 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス― 第3部:ウェブコンテンツ」が制定されました。

JIS規格とは、工業標準化法に基づいて制定される国家規格です。JISマークを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。JISマークは、製品の品質や性能等がJIS規格の定める基準に適合していることを示す表示です。身近なものでは、エアコン、冷凍庫、電球などについています。

JISマークに代表されるように、JIS規格は製品の規格を定めたものが数多くありますが、このほかに、動作や手順、手法などを定めた方式規格、計量単位や言語などを定めた基本規格などがあります。JIS X 8341-3は、ホームページ制作・運営における指針を示した方式規格です。

だれもが利用できるホームページを制作するために必要な配慮

JIS X 8341-3が目指しているのは、ホームページで提供される情報やサービスを、高齢者や障害者も含めただれもが利用できるようにすることです。これを実現するためには、ホームページを制作する際に配慮がなされなければなりません。制作のプロから素人まで、様々な人がホームページをつくっているわけですが、必要な配慮や制作の方法については、これまでまったくといってよいほど知られていませんでした。

JIS X 8341-3には、ウェブアクセシビリティの配慮が、九つの枠組みで、39の項目として示されています。国際的には W3C (World Wide Web Consortium)というウェブ技術の標準化を行う団体が定めた WCAG1.0 (Web Content Accessibility Guidelines 1.0)という指針があります。JIS X 8341-3は、この国際指針の内容を包含し、日本語環境で必要とされる独特の配慮も盛り込んでつくられました。

利用者にとって本当に意味のある配慮をするために

JIS X 8341-3のもうひとつの特徴は、制作方法以外の配慮についても示したことです。

自治体でも、企業でも、ホームページは日々情報が更新されています。一度ウェブアクセシビリティに配慮をして制作をしたとしても、内容の更新の際にも配慮がなされなければ、ある日を境に利用できないホームページに変わってしまう恐れがあります。また、利用者の使用する閲覧ソフト(ブラウザや音声読み上げソフトなど)は、日々進化していますので、それらの動向を踏まえた対応を行わなければ、利用者にとって本当に意味のある配慮にならない可能性があります。

ウェブアクセシビリティというと細かな制作技法が話題になりがちなのですが、実はそれ以上に「運用・更新の体制や手順」「提供する情報やサービスの中長期的な品質管理」といった幅広い視点で考えることが重要になるのです。JIS X 8341-3では、企画・制作や保守・運用といったホームページ提供のプロセス全体で必要な配慮を行うこと、利用者からの問い合わせや問題指摘を受け付ける体制と方法をきちんと整えることなどが示されました。

国・自治体等には尊重義務 民間でも対応事例が続々

JIS X 8341-3の制定は、国内のホームページに大きな影響を与え始めています。2004年の終わりごろから、中央省庁や自治体、大手の民間企業などで本格的なウェブアクセシビリティの対応事例が出てきました。特に中央省庁や自治体ホームページの調達にあたっては尊重義務があります(工業標準化法 第67条)ので、これまでの調達(制作)や運用の方法を見直し、ウェブアクセシビリティの考え方を取り入れていくことは必須といえるでしょう。

配慮の大原則をJISに学び やれることから始めよう

実際に原本を入手し内容を確認いただきたいのですが、この中で示されているのは配慮の大原則です。よく誤解があるのですが、「ウェブアクセシビリティを実現するために、デザインや機能などの創造性を犠牲にすべきだ」という規定ではありません。むしろ、そのようなことにならないように、細々とすべてを規定するのではなく、あえて原則を示すにとどめてあると考えてください。

JIS X 8341-3が示しているのは大原則であって、魔法のルールではありません。本当に大切なのは、情報やサービスをだれもが便利に利用できることです。伝えたい情報やサービス、実現したい機能は提供者、制作者により異なります。それぞれの立場から、JIS X 8341-3の示す大原則に実際にどのように対応できるのかを、うやむやにすることなく、きちんと掘り下げて検討することが重要なのです。

ご自分の手足を縛る制約としてとらえるのではなく、だれもが利用できるホームページへの進化の手掛かりとして、ぜひ、JIS X 8341-3と前向きに向き合い、生かしていただきたいと思います。

アクセシビリティ情報の総目次
ウェブアクセシビリティは比較的新しいテーマですが、幸いにも先駆者の皆さんが、多くの素晴らしいサイトや書籍で情報を提供されています。基本の解説から統計調査結果、取り組み支援ツールまで、A.A.O.では、様々な情報源を総合リンク集「アクセシビリティ情報の総目次」で紹介しています。ぜひご活用ください。
【主な内容】基本について詳しく知りたい、アクセシブルなウェブの作成方法を知りたい、自治体や企業の取り組み事例を知りたい など
日本規格協会
JIS X 8341-3は、日本規格協会のホームページで検索・購入できる

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