第9回「関連サイトを含めた全庁的なアクセシビリティ推進」~川崎市の新たな取組と重視していること~(後編)
[ 2017年7月12日 ]
ゲスト
川崎市総務企画局シティプロモーション推進室 広報担当 放送・映像 担当係長
遠藤佳宏さん
6.総務省運用ガイドラインに基づいた「取組確認・評価」
アライド:ご承知のように総務省運用ガイドラインでは、平成28年度から新たな取組としてウェブアクセシビリティの取組・確認評価の実施と結果の公表が求められるようになりました。川崎市の「団体全体としての取組確認・評価」について教えて下さい。
遠藤:対象の把握について、外部サイトを対象にした調査を今年から開始しているので、来年度以降も継続することで点数を上げていきたいと思います。また、ウェブアクセシビリティ方針の策定状況は、外部サイトは7割程度が作成するとの回答が得られているのですが、ウェブシステムのアクセシビリティについては不透明なことがまだ多い状況です。平成28年度はシステムは対象外という考え方で暫定的に取組の確認・評価を行ってみました。川崎市ではウェブシステムについては別部署が担当していますが、これからもうまく協力しながらやっていけたらと考えています。
アライド:公式ホームページを対象にした「個々のホームページ等の取組確認・評価」を行ってわかったことはありますか。
遠藤:評価項目の中では、「利用者との協調」が課題です。障害を持っている職員の意見を聞きながら改善に活かしていますが、今後はもう少し幅を広げていけたらと考えています。いわゆるユーザー評価を実施して、障害のある方が川崎市ホームページから情報を得る際に問題が起きないかどうか確認することを検討しています。職員研修等の取組についても、平成29年度以降もしっかり継続していきたいですね。
7.放っておくと確実に品質劣化する
アライド:今後の取組についてどのようにお考えか教えて下さい。
遠藤:アクセシビリティについての理解が薄い状態だと、「研修に出る必要があるのか」、あるいは、「それって予算つけるようなことなのか」というレベルの話が出てきてしまいます。今後も取組を継続し成果を上げていけるように、地道にやっていくしかないのだろうと思っています。川崎市の公式ホームページは、約4万8千ページあって、年間およそ1万もの新しいページが作られます。この規模のホームページだと、放っておくと確実に品質が劣化していくものだと認識しています。その劣化を抑えること、求められている品質を達成することのためには、こうした取組を継続するということが何よりも重要と考えています。
8.「利用に実害がない」ことを重視し取組を継続
遠藤:今後もAA準拠を目指して取組を継続します。ただ、基準を達成するということ以上に、「利用に実害がない」ということが最も重要だと考えています。そのため、障害のある職員に協力を頂き、意見を聞くということを重視して継続したいと思います。さらに、職員目線ではない庁外の障害者ユーザーや高齢者の方、そういう皆さんの利用しやすさに関する声をきちんと聞くということが必要だと感じています。その取組によって、JISには現れない使い勝手の問題を確認できるのではないかと思います。
第9回「関連サイトを含めた全庁的なアクセシビリティ推進」(前編)