第10回「考えていたリニューアルの計画をゼロベースで見直しました」~長寿科学振興財団ウェブサイトのAA準拠を目指したリニューアル~(前編)
[ 2018年1月10日 ]
ゲスト
公益財団法人 長寿科学振興財団
事業推進課長 金子智隆さん
事業推進課 事業推進担当 山口貴利さん
4.AA準拠を目指し全画像を対象に代替テキストの適否を確認
アライド:ウェブアクセシビリティの改善について、問題を認識されて以降すぐに取り組まれたことがありましたか。
山口:全ファイル解析の結果データなどを活用して、見出しタグを付与したり、代替テキストのついていない画像に代替テキストを設定するなどの取組を少しずつ行いました。さらに、業者によるコンテンツ移行・改善作業開始前までに、アライド・ブレインズから提供のあった、財団ウェブサイトと健康長寿ネットに掲載されている全画像と代替テキストの一覧データを5名で分担して確認し、全画像の代替テキストが適正か否かを判断しました。代替テキストでは説明しきれない複雑な画像については、ページ本文の中に説明を追加することを検討しました。
アライド:AA準拠を目指し、事前準備の期間を有効に活用され、非常に多くの準備を入念に実施されました。これから取り組まれる他団体の方には、そのような取り組みが必要であることを考えたことがない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。担当の皆様の中に一連の取組の積み重ねがあったので、業者にスムーズに指示したり、業者からの問い合わせに即座に回答したりということが可能になったのではないかと思います。
5.求められている品質を備えた「普通のホームページ」へ
アライド:初めてウェブアクセシビリティに取り組まれて、皆様にどのような変化がありましたか。
山口:職員自身がアクセシビリティに準拠するためのルールを学びながら改善に取り組んだことで、必要な知識について理解が深まっていったと感じています。
金子:私自身はこの取組以前はウェブアクセシビリティという言葉を全く知りませんでした。非常に重要なことで取組が必要であるという提案が山口さんからあり、取り組むのであればしっかりと結果を出さなければいけないと考えました。当初は全く未対応の状態でしたので、これに取り組むことで、求められている品質を備えた「普通のホームページ」の仲間入りができるのかなというイメージで取り組んでいました。
アライド:健康長寿ネットは高齢者を主なターゲットにしていましたね。
金子:年配の方々に見ていただくことを重視しているのに、ウェブアクセシビリティが確保できていないことで、結果的に見ていただけないということに繋がるかもしれないわけです。全く配慮せずに作ってきてしまったという経緯がありましたので、大きな意識改革になりました。
6.自分達の必要なCMS機能が何なのかを突き詰める
アライド:事前準備において、当時使用していたCMSの機能確認を行いました。この取組の意義はどのような点にあったと思われますか。
山口:当時使用していたCMSの機能と利用している機能について詳細に確認を行いました。自分達にとって必要な機能を考えることは、自分達がどのように情報を発信していきたいのかを考えることと表裏一体で、財団ウェブサイトと健康長寿ネットを今後どのように運営していくかということについて、あらためて考える貴重な機会となりました。
アライド:仕様書を作る過程で複数のCMS製品の資料調査と、有力な製品について実際に動作を確認する調査を行ったわけですが、その取組過程でどのようなことが重要でしたか。
山口:財団としては、当時使用していたCMSの機能を使いこなせていなかったという事情がありました。いろいろなCMSを調査する中で、それぞれの製品の差がどうかという以前に、自分達の必要な機能が何なのかを突き詰めることが重要でした。事前準備にしっかりと期間を確保したことにより、必要な機能をしっかりと整理することができたと思います。