2015年Aion全ページJIS対応調査「国(府省庁、国会、裁判所等)編」
国のホームページ約55%(80万ページ超)が障害者・高齢者配慮のJIS規格最低基準を満たさず ~問題ページが約4万5千増加~
この度、国(府省庁、国会、裁判所等)のホームページ50サイトの全ページを対象に、高齢者・障害者のホームページ利用への配慮(ウェブアクセシビリティ)に関するJIS規格(JIS X 8341-3:2010)への対応状況について検証プログラムを用いて調査しました。
本調査で、国のホームページの約55%に、JIS規格で最低限遵守すべき「達成等級A」の問題が確認されました。
2016年4月に予定されている障害者差別解消法の施行に向けて、政府は2月24日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を閣議決定しました。現在公開されているホームページには未だ多数の問題があることが明らかとなり、今後、公共機関にはこれまで以上にウェブアクセシビリティ対応を推進することが求められます。
調査結果概要
本調査では、50の府省等サイトの合計1,469,477ページのうち806,664ページ(54.89%)でJIS規格の達成等級Aの対応に問題があることが確認されました。2013年の調査実施時から問題のあるページが約4万5千ページ増加しています。
同一ページに複数の問題があるページも多数あることから、改善を検討すべき箇所数は府省庁等サイトのホームページ全体で合計3,530,697箇所確認されました。
また、個別のサイトについては、18の府省等サイトで、達成等級Aに問題のあるページが1万ページ以上あることが確認されました。問題のある割合は、最も少なかったサイトで3.28%、最も多かったサイトで100.00%でした。(表1参照)
No. | 団体名 | 公開されている全ページのうち、等級Aに問題のあるページの割合 | 等級Aの問題の箇所数 |
---|---|---|---|
1 | 公害等調整委員会 | 3.28% | 35 |
2 | 内閣府 | 5.91% | 1,252 |
3 | 参議院 | 9.24% | 18,271 |
4 | 公安調査庁 | 9.41% | 101 |
5 | 裁判官訴追委員会 | 10.00% | 5 |
6 | 内閣法制局 | 14.09% | 346 |
7 | 公正取引委員会 | 15.21% | 9,187 |
8 | 会計検査院 | 16.73% | 183 |
9 | 復興庁 | 17.07% | 1,279 |
10 | 中央労働委員会 | 18.63% | 147 |
11 | 裁判官弾劾裁判所 | 20.18% | 112 |
12 | 気象庁 | 20.37% | 17,462 |
13 | 衆議院 | 23.14% | 22,854 |
14 | 総務省 | 26.22% | 169,939 |
15 | 資源エネルギー庁 | 26.30% | 7,311 |
16 | 国税庁 | 30.00% | 16,328 |
17 | 宮内庁 | 34.94% | 5,800 |
18 | 文部科学省 | 35.02% | 113,800 |
19 | 財務省 | 36.34% | 17,459 |
20 | 経済産業省 | 36.72% | 97,120 |
21 | 文化庁 | 37.14% | 11,266 |
22 | 環境省 | 40.88% | 144,578 |
23 | 金融庁 | 40.91% | 23,733 |
24 | 国立国会図書館 | 41.75% | 243,999 |
25 | 外務省 | 47.10% | 197,332 |
26 | 地方公共団体情報システム機構 | 52.28% | 6,381 |
27 | 特許庁 | 57.18% | 97,668 |
28 | 農林水産省 | 58.37% | 181,606 |
29 | 内閣官房 | 65.04% | 3,164 |
30 | 中小企業庁 | 67.74% | 61,716 |
31 | 法務省 | 73.59% | 41,034 |
32 | 国土交通省 | 76.16% | 438,616 |
33 | 原子力規制委員会 | 78.78% | 135,946 |
34 | 海上保安庁 | 79.96% | 90,335 |
35 | 防衛省 | 80.58% | 326,129 |
36 | 消費者庁 | 82.10% | 18,024 |
37 | 厚生労働省 | 84.01% | 449,770 |
38 | 検察庁 | 87.56% | 14,431 |
39 | 消防庁 | 88.10% | 30,076 |
40 | 首相官邸 | 89.17% | 257,810 |
41 | 警察庁 | 90.63% | 29,817 |
42 | 観光庁 | 93.95% | 22,190 |
43 | 人事院 | 96.99% | 8,190 |
44 | 国家公安委員会 | 97.77% | 1,908 |
45 | 裁判所 | 98.92% | 11,672 |
46 | 運輸安全委員会 | 99.88% | 4,581 |
47 | 日本銀行 | 99.91% | 16,388 |
48 | 水産庁 | 99.98% | 21,153 |
49 | 公安審査委員会 | 100.00% | 44 |
50 | 林野庁 | 100.00% | 142,149 |
達成等級Aに該当する25の達成基準の中で、特に「問題あり」のページの割合が最も高かったのは、以下の達成基準でした。(図1参照)
- 「7.1.1.1非テキストコンテンツに関する達成基準」(29.44%のページで達成等級Aに問題)
- 具体的な問題の例:音声読み上げソフトの利用者に画像の内容を伝えるための「代替テキスト」がない等。
図1:達成等級Aの達成基準別「問題あり」のページ割合
(問題の多い達成基準上位10位)
総務省「みんなの公共サイト運用モデル(2010年度改定版)」では、各公共機関が自団体ホームページの現状や運用の事情を踏まえ改善計画を立案し実行することが求められています。
弊社では、本調査により各公共機関公式ホームページで公開されている全ページのJIS対応状況を明らかにし、結果の公表、解説セミナーの実施等を通じて、公共機関ホームページのウェブアクセシビリティ向上に貢献してまいります。
調査概要
1.調査対象
e-Gov(イーガブ)の下記ページに掲載の50団体の公式ホームページ。
※各団体名からリンクしているページに掲載されている地方支部局や独立行政法人等の関連サイトは対象外
【対象50団体(e-Govでの掲載順)】
首相官邸、内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会、警察庁、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、公害等調整委員会、消防庁、法務省、検察庁、公安審査委員会、公安調査庁、外務省、財務省、国税庁、文部科学省、文化庁、厚生労働省、中央労働委員会、農林水産省、林野庁、水産庁、経済産業省、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁、国土交通省、観光庁、気象庁、運輸安全委員会、海上保安庁、環境省、原子力規制委員会、防衛省、会計検査院、衆議院、参議院、裁判官弾劾裁判所、裁判官訴追委員会、国立国会図書館、裁判所、日本銀行、地方公共団体情報システム機構
2.調査期間
2015年1月5日~1月28日
3.調査方法
アライド・ブレインズが開発した「全ページJIS検証プログラムAion(アイオン)」を用い、調査対象ホームページの公開されている全ページを対象に、JIS規格対応を調査した。
Aionは、総務省が開発し広く一般に無償提供しているJIS規格対応検証ツールmiChecker(エムアイチェッカー)のチェック項目と基準に準じて、公開されている全ページを一括で検証するもの。
本調査はmiChecker ver1.0の基準により機械的な検証を実施し明らかな問題があると判定された箇所について集計を行った。JIS規格に基づき人の判断を含めた確認を行った場合、本調査の結果以上に問題が確認される可能性が高い。また、問題と判定された箇所には、ページの内容等を含めて人による確認を行った場合、問題がないとの判断に至るものが含まれている可能性がある。
なお、miCheckerがHTML5に対応していないことが原因でエラーが発生する場合がある。
関連セミナー
本調査結果の詳細、障害者制度改革など国内外のアクセシビリティ対応を求める最新動向、公共機関に求められる取組みを、公共機関ホームページ担当者向けに解説するセミナーを6月以降に東京で開催いたします。
アライド・ブレインズ株式会社 2015年3月12日プレスリリース
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