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Voice ~公共サイトの担当者が語る~
No.5 アクセス記録・アンケート結果を基に考える「もうひとつの市役所」

[ 2007年11月20日 ]

寄稿
岡山県岡山市企画局情報企画課
中島 悌吾さん



市民の方は年に何回市役所に行くか?

岡山市のトップページ画像以前、ある自治体が「市民の方は年に何回市役所に行くか」を調査したものを見たことがありますが、「年に数回」が圧倒的多数でした。なるほど、私たちは市役所職員だから、毎日役所に来るのは当たり前ですが、一市民の方の立場に立ってみれば、役所というところにはそう用事はなく、滅多に行くところではありません。至極当然の結果といえるでしょう。
これはリアルの役所の話ですが、考えてみれば、ウェブサイトというものは、市役所の分身であり、インターネット上に存在するもうひとつの市役所といえます。では、この「もうひとつの市役所」、市民の方はどれだけ利用しているのか―それをデータで振り返ってみるところから今回の「Voice ~公共サイトの担当者が語る~」の稿を始めてみましょう。

トップページを最初に見ている人は8人に1人

人口約70万人、2年後の平成21年の政令指定都市移行を目指しているわが岡山市のウェブサイトができたのは平成8年のことで、以来11年、最近はやや落ち着きを見せていますが、利用者はおおむね増加傾向にあります。今年になってからの月間アクセス記録の平均を見ると、24万ユニークユーザー、42万ビジット、242万ページビューですので、1ユーザーあたり月1.7回利用し、1回あたり5.8ページ閲覧している計算になります。

むろん、このユーザーがすべて岡山市民の方ではありませんが、月1.7回というのは年に換算すると20回になりますから、リアル市役所の訪問回数に比べれば多い、と思える数字です。
しかし、アクセス記録の別の数字を見ると結論は変わってきそうです。1回(ビジット)あたりサイト滞在時間を見ますと、何と「30秒以内」が6割強もいることが分かりました。約6ページを30秒以内に閲覧?とても無理そうです。
また、こんな意外な結果も出ています。42万ビジットのうち、トップページを最初に見ている人は、わずか5万3千人、8人に1人ということが分かりました。

データから浮かび上がる岡山市サイトの利用者像

実際のアクセス記録のほか、昨年1月に市民の方にアンケートで「岡山市のホームページをどれくらいの頻度で使いますか」という質問をしたところ、「日常的に利用(ほぼ毎日)」というお答えは、わずかに「1.1%」でした。こうなると、やはりリアル市役所の利用頻度とそう変わらないサイト利用者像が浮かび上がってきます。

つまり、

  • 岡山市サイト利用者には、検索サイトなどからたまたま岡山市サイトにやって来て、「目的と違う」とすぐに退去している人が多い。言うなれば、岡山市に用事があった方ではないから、数字以上に「お客様」は少ない。
  • すなわち、市民の方は、岡山市のサイトはたまにしか利用しないというアンケート結果が、アクセス記録からも裏付けられた。
  • また、利用したとしても、トップページから情報を辿っているとは限らない。むしろそうでない方が多い。
  • あまり利用しないということは、市のサイトの使い勝手には慣れていない。

ということです。

ホームページの世界の常識と、市のサイトの現状

なるほど、市民の方はあまり市のサイトを利用しない、でも、それは普通だなぁ、とここまで考えて、また別の方向に想像が働きました。まてよ、市のサイトを利用しないといっても、それはイコール、インターネットをあまり利用しないことを意味しない、「インターネット利用時間のうち、市サイト閲覧に当てている時間が極めて少ない」ということにしかならない。ということは、市民の方の「インターネット、ホームページの世界の常識」は、市以外のサイトを閲覧していく中で作られている、ということになります。

ここまで考えてくると、ぎょっとせざるを得ません。それは、市のサイトが、他のサイトに比べ、情報の提供の仕方、サービス内容、サイトのつくりなど、様々な面でとても太刀打ちできないと思える面が多いからです。アクセシビリティやユーザビリティが完璧とはいいませんが、やはり大手のポータルサイトや有名企業のサイト、ショッピングサイトなどは便利なものです。それを普段使っている感覚で市のサイトを見たら―「え?こんなこともできないの?」そんな声が聞こえてきそうで、汗顔の至りです。

市役所に届く利用者の声は氷山の一角

もっと怖いのは、そう思われていたとしても、その反応を目にすることがほとんどできないことです。「こういう点で使いにくかった」というメールやお電話は本当にたまにしか来ません。まさに氷山の一角でしょう。私たちの見えないところで、いつのまにか「この市役所って、このレベルなのか」というネガティブな評価が下されている、考えてみると恐ろしいことです。「民間のサービスに比べると、役所のサービスは・・・」とは巷間よく耳にするご批判ですが、インターネットの世界まで、このような評価が下されてしまう、サイト担当者として、何とかせねば、と思います。

利用者の立場にたって想像してみる

ユーザビリティやアクセシビリティは最終的には人の目で、人の手で探らないといいものは出来上がらない。よく言われることですが、それを実現させるものは、やはり人の想像力でしかないでしょう。このサイトを、このページを見る方はどんな方で、どんな気持ちでパソコンの前に座り、どのルートを辿ってここに着き、そして、どんな気持ちでこのページを読むのだろう?市役所で働き、そこに慣れてしまうと、なかなか難しそうな「想像」です。実際にお客様の声を拾ったり、サイトのアクセス記録を分析したり、いろいろな事例を研究する、そういった努力を続けなければ成しえないことでしょう。

でも、私たち自治体職員も、家に帰れば普通にインターネットを使います。おそらく、自分の勤めている市役所のサイトはあまり見ないでしょう。まずはスタートとして、その感覚を持ち込めばいいのではないでしょうか。他のサイトを見たとき、これはおかしい、これは使いにくい、そう感じたことを、実は自分のサイトでしてしまっていた、それに気付くのはそう難いことではないでしょう。

サイト内の全てのページがサイトの入口

その想像力をもって、「トップページから情報を辿っているとは限らない。むしろそうでない方が多い。」というデータ結果を見ると、さらに想像の連鎖が起こります。
サイトを構築する側は、どうしてもトップページを頂点として、そこから順繰りに情報を探していく、というアタマになり勝ちですし、我がサイトを見渡してみると、そのような思想で作られているページをよく見かけます。トップページは確かに「顔」であり「入口」であり、そこからの情報検索がスムーズにできることは、もちろん大切なことです。
しかし、自分が一ユーザーとして、家庭でインターネットを利用するときのことを想像してみれば、いつも各サイトのトップページ経由ではないことに気付くでしょう。

インターネット利用者のまずほとんどの方は、パソコン起動→ブラウザ起動で、最初に表示されるのは検索サイトです。そして次に求める情報がどのサイトにありそうか見当がついているときは目指すサイトのトップページを開き、そうでないときは検索(キーワード)で、というのが普通ではないでしょうか。ということは、畢竟サイト内の全てのページは「トップページ」―サイトの入口・顔になりうる可能性を持っていると言えます。

たくさん入口のある建物は、必ずしも「正面玄関」からお客様がいらっしゃるとは限りません。どこから入ってきても、暖かく迎える、その姿勢(市政?)が大事なことは言うまでもありません。そういえばこんなことを考えたことがあります。「検索サイトで、いつも「岡山市 (目的の情報)」の2語で検索をして、常に検索結果の最上位に該当ページが表示されたら、お客様にとって、最高に使いやすいサイトなのかな?」と。これを実現するには、サイト内全てのページを「サイトの顔」をつくるつもりで構成しなければなりません。

サイトのお客様の存在を意識することが第一歩

はじめにも書きましたが、ウェブサイトは「もうひとつの市役所」です。ウェブサイトを見ただけで、お客様は「この市役所は、こういう姿勢のところか」という判断を下してしまいます。そんな目に見えない、反応が分からないお客様をお相手するという、大変難しい「接客」が求められるのがウェブサイトです。この前提を忘れないこと、それが市民の皆様はじめ、サイトのお客様にとって本当に使いやすいサイトづくりへの第一歩と言えるでしょう。

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