Voice ~公共サイトの担当者が語る~
No.1 CMSとアクセシビリティについて
[ 2007年4月25日 ]
寄稿
八尾市企画財政部情報政策課
長野 裕香さん
CMSの導入により各所属担当者の負担を削減
CMSの導入メリットとしての作業効率化についてはご存知のとおりかと思います。本市においては平成14年度に導入されており、導入以前と比較すれば、htmlタグの作成やftp作業がなくなった分、各所属のHP担当者の負担を減らし効果を発揮しています。また、アクセシビリティ対策についても有効です。一例としては、画像を掲載した場合はALTを入力しないと次画面へ進めないため、代替テキストがない、という基本的なミスは起こりません。
代替テキストなどについて作成者の理解が無ければCMSの機能も意味を成さない
しかし必ずALTが入っていても、作成者がALTとは何かということを理解していなければ意味がないことを痛感します。ALTは音声ブラウザが、画像の代わりに読み上げるテキストを入力する部分であり、その画像の意味に沿ってテキストを入力しなければなりません。つまり作成者がこの画像を、どのように理解してもらいたいかを考慮して、入力することが必要です。”とりあえずテキストが入っていれば良い“という認識の場合、写真の番号等が入っていることもありました。これではせっかくのCMSの機能も全く意味を成しません。
アクセシビリティ対策のツールとしてうまく活用するためのポイント
CMSをアクセシビリティ対策のツールとしてうまく活用するための1点目としては、確保したいアクセシビリティの項目を洗い出し、どの項目がCMSの機能だけで確保できるアクセシビリティの対象(例:丸付き数字は利用不可等)であり、またどの項目が作成者の配慮も要する(例:ALT等)のかを、見極めることではないでしょうか。次に2点目として、配慮が必要な部分に関してマニュアル化すること、3点目は全職員でこのマニュアル通りに運用していくことです。マニュアルの運用を維持し続けること、多くの職員が携わることを考えると、この中で一番難しいのは、「3点目」でしょう。
研修による担当者の意識変化がページに現れる
しかしこれは、自治体の情報を提供しているという役割を前提とした上で、ウェブアクセシビリティについて知る機会があれば、それほど難しいことではないと思います。本市では研修の実施後、 「知らなかった・勘違いをしていた・知ることができたので今後配慮していきたい」という反響が大きく、実際、作成担当者の意識の変化が各ページへ現れています。何故このマニュアルが必要なのかという点に理解を得ることができれば、より高いアクセシビリティを確保したHPを運用できるのではないでしょうか。