第12回「3年半かけて取り組んだ姫路市公式ウェブサイト全面リニューアル」(後編)
[ 2020年3月6日 ]
ゲスト
姫路市 市長公室 広報課
課長 松本美樹さん
係長 神脇英司さん
これから取り組む他団体へのアドバイス
アライド:たくさん色々なことをお聞かせいただいて、本当にありがとうございます。どんな場面のどんなお話でもいいのですが、これからリニューアルを考えていらっしゃる、あるいはこれからアクセシビリティ対応を取り組もうとされている公共機関様とか自治体様に対して、こういうところは注意した方がいいよとか、こういうところから取り組んだ方がいいよとか、そういったアドバイスはありますか。
神脇:やはり一番初めに取り組むべき事はページの削減かなと思いますね。移行費用を削減する効果も大きいですしね。ページの修正、アクセシビリティに対応するページの改善工数というか、作業時間にも影響してくるので、まずはやっぱりページをしっかり削減してから取りかかっていく方が、一番効果的ではないかと思います。
アライド:ページの規模にもよるとは思いますが、仮に3,000ページとか4,000ページであっても、ページ削減に必要な時間の絶対量というのがあるような気がしますが。
神脇:ありますね。
アライド:例えば、広報課さんの方で、こういう風に削減する、というのを決めるまでにも、調べて考える時間ってかなり必要ですよね。
神脇:必要ですね。ページ数を把握して、担当課ごとにリストアップ、削除対象ページを選定してと、時間はかかりました。
アライド:ページ削減というのが非常に大きいですね。研修の話とか、興味のあるお話をたくさんしていただきました。今回姫路市さんは、公開の3年半前からリニューアルに取り組まれましたが、これからリニューアルを検討しようと考えていらっしゃる方々に対して、そのあたりはどう思われますか。ある程度時間をかけた方が良いのかどうか。
神脇:ちゃんとアクセシビリティに対応しようと考えているのなら絶対に時間をかけるべきだと思いますね。
アライド:ページ削減も時間がかかるし、いろんな調査をしたりとか、事前に大きな方針を立てたりとか、時間が必要ということですよね。
神脇:それだけの時間は必要ですね。
アライド:例えば3,000ページとか、もう少し規模が小さいサイトであっても、やはり必要と思われますか。
神脇:それは必要だと思いますね。省略できる作業ではないと思います。
アライド:30,000ページでも3,000ページでも、絶対量というか、絶対に必要な期間を設けるべきということですよね。
神脇:その通りです。
アライド:今回は、色々なことを取り組まれたので、公開の3年半くらい前から始められましたが、少なくともこのくらいからは検討を始めた方がいいんじゃないかという感覚はありますか。
神脇:そうですね。移行するページやリニューアルの規模にもよると思いますけど、やはり2年は、最低必要だと思いますね。
アライド:公開のプロジェクトで1年、その前の1年はしっかり準備に充てる必要がある、ということですよね。
神脇:そうですね。
アライド:ページを削減するわ、分類を見直すわ、設計もするわ、CMS調査もするわ、他にもログを結構見られているんですよね。
神脇:そうですね。ログ解析もやりましたね。
アライド:このログのデータというのは、話が随分戻って申し訳ないんですが、どういうログのデータを使われていますか。
神脇:Googleアナリティクスですね。
アライド:生ログと呼ばれるデータを使うケースもありますけれども、アナリティクスでも結構使えますか。
神脇:使えますね。
アライド:しっかりそこを使って分析をするということですよね。
神脇:そうですね。生ログでもアナリティクスでもしっかり分析することが大事ですね。
最後に
アライド:姫路市さんのサイトのアピールも含めてお話いただけることがあれば、ぜひお願いします。
神脇:サイトのアピールでいくと、サイトのデザインに拘った、という話があったかと思います。実は姫路城の公式サイトと、フォトバンクとキッズページという3サイトがありますが、これらは全部市の職員がデザインしました。
アライド:それらは、市の公式サイトとは別のものですね。
神脇:サブサイトとして存在する姫路城の公式サイトです。それと、フォトバンク、あとキッズページです。

神脇:職員が、サイトをデザインして、なおかつ、キッズページのキャラクターというのも、市の職員がデザインしました。実はですね、姫路城の公式サイトの「世界遺産 姫路城」と書いてある字、あれ、私が書きました。しっくりくるフォントがなかったので。
アライド:公式ホームページだけではなく、市の色々なサイトを職員が積極的に関わっていく、というのは、意識も含めて、とても大事だということですね。
神脇:そうですね。どういう風にして良くしよう、どうやったら見てもらえるだろうという意思というか、そういうのが必要だと思いますね。
アライド:事業者さんに丸投げするのではなくて、自分たちで主体になってやるということですよね。
神脇:そうですね。丸投げすると他の自治体と同じようなページデザインになってしまい個性が出せませんので。そのためにはたくさんのサイトを見てこんな感じのサイトがいいなとデザイン方針を決めました。
アライド:事業者さんとしてみれば、他でやったのを参考にして、というのが安全だし、失敗は少ないかもしれないし、でも差別化できないですよね。
アライド:ところで、アクセシビリティAA準拠は継続して取組まれますか。
松本:全てのサイト、サブサイトも含めてアクセシビリティのAA準拠を目指したいですね。そのためにも、やはり一人でページを作るわけではなくて、職員だけでなく指定管理の方とか皆さんに協力していただく必要がある。はじめよくても担当が変わったら急にダメになることもあると思うので。
アライド:関連サイトについて、指定管理者のサイトを手始めにやられていると思います。それには何か理由がありますか。他にも関連サイトはあると思いますが。
神脇:関連サイト全体については、研修を始めた段階でちゃんと対応して下さいという指示はしているので、そこの対応は任せているというところですね。
アライド:大きな括りでいうと、例えば学校だとか、割と数があると思います。そういうまとまった数があるところはどうですか。
神脇:実はですね、小中高と幼稚園で、141サイトあります。
アライド:141。またすごい数ですね。取組の対象はまだまだたくさんありますね。
神脇:はい、継続してアクセシビリティの対応に取り組んでいきます。