レポート 公共サイト運営の最前線
第6回「10万を超える”浮遊ファイル”の洗い出し・削除を実現した仙台市」
[ 2013年6月5日 ]
ゲスト
仙台市総務企画局広報課 主事
武内愛美さん
アクセシビリティ・ユーザビリティ面での問題も再認識
アライド:全ファイル解析では、浮遊ファイル以外の問題点も見つかりましたが。
武内:仙台市公式ウェブサイト全体の品質をファイル単位で明らかにしてもらった結果、浮遊ファイルだけでなくアクセシビリティやユーザビリティの面でも多くの問題があることに気づかされました。
アライド:どのような点が新たな発見でしたか。
武内:たとえば容量が大きいとか、ページ中のテキスト文字数が多すぎるなどの問題は、古いファイルに多いことが数字で把握できた点は大きな収穫です。
解析結果とアライド・ブレインズの解説を通じて「ウェブサイトのどこに問題があるのか」を把握できましたので、問題の多い古いページについて必要性を精査するつもりです。その際には、「ページを残す場合は仕分け方法を定義する必要があると考えています。例えば、CMSの管理下に入れ不要な場合はきちんと削除する。ただし『仙台市公報』のページだけは例外とする」というような仕分け方法です。
アライド:他にどのようなルールが必要でしょうか。
武内:全ファイル解析の結果を見て、PDF作成に関するルールが定まっていないことのリスクをあらためて実感しました。PDF作成ルールが標準化できていないのも問題なのですが、紙の文書をスキャンしたPDF注4が実は数多く存在していたことに驚いています。いちいちファイルを開いて確認するのは手間ですし、やはりディレクトリや容量から見当を付けて内容を確認するのが現実的です。そういう面でも、全ファイル解析の結果を活用していきたいですね。
注4 スキャナーで読み込みPDF化した文書は、画像として処理されるため、テキスト内容を音声読み上げソフト等が認識できない。
次回リニューアルへ向けて
アライド:中長期的な視点でのウェブサイト改善策をお聞かせください。
武内:当面は運用ルールの見直しと定着、全ファイル解析の結果から地道に改善を図りますが、今回の浮遊ファイル整理業務を通じて、CMSとページ作成ソフトが混在する限り、抜本的なアクセシビリティ改善は困難だと実感しました。ウェブサイト全体のアクセシビリティの改善をはかるには、全ファイルをCMSで管理する必要がありそうです。
アライド:全面的なリニューアルも視野に入りますか。
武内:現在のCMSは、1ページ中に掲載できるPDFへのリンク数に上限がある、他の環境で作成したページを管理しづらいなどの制約があります。その制約のために全ファイルをCMSで管理できないので、入替えの検討も必要かもしれません。次のリニューアルは準備期間を含め、相当時間をかけた抜本的な計画になるでしょう。
その際はPDFや添付ファイルを含めて仙台市公式ウェブサイトの全コンテンツを整理したうえ、必要な機能を持つCMSを精査し、全ページを管理できる体制を実現したいですね。
アライド:ありがとうございました。