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第8回「情報分類の根本的な見直しと入念な事前準備による業者選定」~糸島市ホームページのリニューアルとCMS入れ替え~(前編)

[ 2017年4月14日 ]

ゲスト
糸島市企画部秘書広報課広報係 主査
田中伸治さん



5.業者の選定前に情報分類とサイト設計を終えておくことの重要性

アライド:事前準備において、どういった点を重視されましたか。

リニューアル後の糸島市ホームページ

田中:今回のリニューアル業務において、一つの肝になったのが、「情報分類及びサイト構造設計の再構築」です。今回のリニューアルが前回と大きく異なった点は、現状のサイトを詳細に分析し、問題点を洗い出し、あるべき新しい糸島市ホームページの形を描いた上で、業者選定を行ったという点です。

アライド:事前に情報分類やサイト設計の見直しを行う意義は、どこにあると思われますか。

田中:前回の糸島市ホームページリニューアルのときもそうでしたが、多くの自治体が行っているホームページリニューアルは、情報分類やサイト設計の見直しとリニューアル作業を1年以内に実施しています。しかし、その期間では情報分類やサイト設計の見直しは殆どできません。そうなると、業者選定後、業者が提示した他の自治体と同じようなサイト構造設計にしたがって、ページ移行することになります。今回は、事前に時間をかけて情報分類、サイト設計を行ったことで、業者選定を行う際に「糸島市が目指すサイトはこの形で、その実現のために企画提案してください」と提示することができました。「糸島市らしさ」を出していくためにもサイト構造設計の見直し案ができていたことは、とても重要だと思います。

アライド:現状のサイト分析では、すべてのページを対象にされました。

田中:糸島市では、合併からの5年間で、リンク切れに伴う多くの「浮遊ファイル」を抱えていたほか、サイトが無秩序に増加。「老舗旅館の建て増し」状態で、総ページ数は6000ページを超えていました。同規模自治体としては、多過ぎる数値だと思います。総ページ数はリニューアル費用に直接跳ね返ってくるため、スリム化と情報分類見直し及びサイト設計の再構築が必須となりました。そこで、アライドさんにノウハウを提供してもらいながら、糸島型の分類を模索。「定住促進」を第一の柱に、「市民向けのくらしの情報」と「観光客むけの観光情報」が両輪となる方針を立て、サイトを再設計しました。結果、職員3人で6000ページを総チェックして、4000ページにまで削減し、利用者に使いやすいように全ての分類を見直しました。繰り返しになりますが、これらの作業をきちんと行うためには、リニューアル業者の選定前にしっかり時間を取ることが大切だと思います。

アライド:今、改めて振り返って実施して良かったことは何ですか。

田中:事前準備作業では、情報分類やサイト構造設計を見直すことが最も重要でしたが、その際に無駄なページを削減できたことは、ホームページの見やすさにもつながりますし、リニューアルコスト削減にもつながり有意義だったと思います。その上で「糸島市らしさ」を出すための方針検討や設計ができました。これまで一般的に行われてきた1年間でリニューアルの検討から移行完了まで行うのでは、使い勝手もあまり向上しませんし、ましてや独自性を出すことは難しいと思います。


6.すべてのページを対象に分析し、情報分類と設計の見直しを実施

アライド:情報分類やサイト構造設計の見直し作業を、もう少し具体的にお聞かせください。

田中:すべてのページを分析した上で問題点、課題を洗い出し、情報分類、サイト設計の見直し方針を立てます。ページ削減目標も設定しました。アライドさんから提示された設計案を基に、コンテンツページの配置の細かな見直しは糸島市で行いました。その際、アライドさんから全国の公共機関からお手本となる良い例を提示してもらい、検討の参考にしました。これらの作業を6000ページ全てに実施しました。途中、スケジュールの遅延が起こりそうにもなりましたが、進捗状況についても管理してもらい、うまく進めることができました。

アライド:これからリニューアルを実施される自治体の方に、アドバイスがあればお願いします。

田中:まず、リニューアル業者の選定前に「情報分類と設計の見直し」を終えておくことが最も重要だということです。今回、糸島市はアライドさんの支援を受けましたが、もし支援の為の予算が取れなかったとしても、自分たちで事前の設計を行うべきだと思います。そのことにより、リニューアルを実施する過程で、業者にしっかり意見を言えるようになると思います。

第8回「情報分類の根本的な見直しと入念な事前準備による業者選定」(後編)


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