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効果的なCMS導入の秘訣

[ 2005年12月7日 ]

執筆担当
目次 徹也
(めつぎ てつや)


公共機関のウェブサイトに求められる環境の変化

2004年6月20日のウェブコンテンツJIS(X8341-3)制定以来、公共機関においてウェブサイトの品質、使い易さ、見易さを向上させる為の取り組みが強化されています。また、ほぼ時を同じくして地方自治体の統合、合併が進められたことに伴い、各地方自治体のウェブサイトの見直しを行わなければならないという状況があります。

さらに、地域住民のリテラシー向上、ウェブサイト活用の進展から、情報発信の即時性が求められています。特に防犯、防災に関する情報、災害発生時等の緊急情報については、より即時性を求められるようになっています。

CMSへの期待と不安

前項で記述したように公共機関ウェブサイトに求められる機能は、より広く高度にならざるを得なくなってきています。これらを解決する有効なツールとしてコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)への期待が高まっています。

期待が大きすぎるあまり、CMSを導入すればアクセシビリティ、ユーザビリティの向上、緊急情報発信対応まで全てが解決すると思われている方が少なからずいらっしゃるように思います。また、ここ数年でCMS製品の数が増加し、各公共機関のウェブサイト担当者は、CMSを検討する際にどのような基準で選定すれば良いか悩まれている方も大勢いらっしゃいます。

確かにCMSをうまく活用することによって得られる効果は、特に情報発信者にとって大きな価値があるものです。現在抱えているウェブサイトに関する課題、問題に対し、CMSを活用して解決できそうに思えるが本当にそうなのか、もしそうだとしたら何を選んだら良いのか、そしていったいいくら位の費用が必要なのか、導入までにどのくらいの期間と作業工数が必要なのか、と悩みは尽きることなく出てきます。

次項から、これらの悩みに少しでもお役に立てればという思いで、参考になりそうなお話を進めていきます。

CMSを導入して効果があるのは

CMSといっても所詮ウェブサイトの運用・管理のツールでしかありません。従ってどんなウェブサイトでも簡単に導入効果が得られるとは限りません。最も導入効果が高いのは、以下の点について整備されている場合といえます。

  • (1) ウェブサイトの目的が明確になっている。
  • (2) ウェブサイトのコンテンツを作成する上で、作成者に順守させる作成基準が用意されている。
  • (3) (2)の作成基準を順守させるための研修が定期的に行われている。
  • (4) コンテンツの分類が明確になっており、ウェブサイトの構造がサイト全体をとおして一貫している。
  • (5) (4)に基づき、統一したナビゲーション機能が用意されている。
  • (6) テンプレート等を用いてカテゴリー毎にページデザインの統一が図られている。
  • (7) コンテンツ作成から承認、公開までの運用フローが明確に定められ、その定められたフローにそって運用されている。

上記(1)から(7)について整備されているところは、CMSを導入する必要がないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これらが整備されていれば、CMSを簡単に導入することができ、コンテンツ作成・承認に関わる方の作業工数は、大幅に削減され、コンテンツ公開までの時間短縮も行われる可能性が高いと言えます。

これらを整備しないままにCMSを導入した場合、CMSが持っているたくさんの有効な機能を活かすことができないだけでなく、かえって中途半端なシステムの制約に煩わされるだけというマイナスの効果をもたらす結果をまねきかねません。そうなるとかけた費用と工数の無駄だけではすまされません。

CMS導入検討に際してやるべきこと

それでは、前項で記述した(1)から(7)が整備されていなければ、導入すべきではないということでしょうか。決してそうではありません。申上げたいのは、CMS導入検討をされる際に、(1)から(7)について、どのくらい整備されているかという現状を知ることが重要ということです。整備されていない項目があれば、CMSの導入検討と平行して、或いはCMS導入作業と平行してそれらを準備することで対応することも可能です。

もし、CMS導入作業の一部または全部を外部に委託する場合は、(1)から(7)の作業についても一部外部委託する場合があるかもしれません。その場合は、提示する仕様が重要になってきます。このテーマについては、A.A.O.の中で紹介しているWAKABA(わかば)アクセシビリティ確保標準手順(終了)の「WAKABAの特徴と活用の利点」のページで記述している「ウェブ発注者・制作者、両者の負担を軽減するために」を参照して下さい。

CMSに期待される導入効果

それでは、具体的にCMSにどんな効果を期待することができるでしょうか。主な機能と期待される効果について記述していきます。

(1) ワークフロー機能、スケジュール管理機能
〔作成者〕 コンテンツの更新、削除が簡単になり、情報の鮮度を楽に高め、必要のなくなった情報を楽に削除できる。
〔閲覧者〕 最新情報をタイムリーに閲覧することが可能となる。
(2)テンプレート機能
〔作成者〕 HTMLの知識、オーサリングツールの高度な機能を習得することなく平易に少ない工数でコンテンツを作成することができる。
〔閲覧者〕  ウェブサイト全体のデザインの統一感ができ、ナビゲーションの一貫性があることにより使いやすく、見やすくなる。
(3)緊急時対応
〔作成者〕 告知すべきコンテンツさえ用意できれば、あらかじめ決めておいたトップページの掲載箇所に速やかに載せることができる。
〔閲覧者〕 早く情報を得ることができる。災害発生時はこれがもっとも重要。
(4)携帯電話対応
〔作成者〕 携帯電話用のページを別途作成する必要がなくなる。
〔閲覧者〕 PC環境で得られる情報と同等の必要な情報がPC環境で得られるタイミングと同時に得られる。
(5)その他
RSS機能、アンケート機能、掲示板機能、メルマガ機能等、閲覧者と作成者、閲覧者同士のコミュニケーション強化に繋がる機能を活用することもできます。

CMSへの間違った期待

CMSを導入することによってアクセシビリティ対応ができると思われている方がいらっしゃいます。私が知る限り、ウェブアクセシビリティのJIS規格に適応するための機能を有するCMSパッケージソフトは今のところないと思います。テンプレートがアクセシビリティ対応になっていたとしてもそこに書き込まれたコンテンツが問題になることもあります。

更新前にアクセシビリティチェックを行う機能を有しているCMSパッケージソフトもあるようですが、まだ限られたチェックしかありません。また、そのチェック機能も運用の中で有効に機能するものでなければ何の意味もありません。もしCMSに多少なりともアクセシビリティに関する対応機能を期待するのであれば、その範囲を明確にしておくことが重要です。

おわりに:CMS導入検討時に導入後のことを考える

CMSを導入し、その効果を上げるためには、導入後の運用について十分に検討することが大切です。運用体制を十分に整えることができないのに機能ばかりを追及した場合、CMSの導入効果が得られないどころか、返って閲覧者の期待を裏切る結果を招きかねません。

CMSを導入し、ウェブサイトの機能を向上させていく場合、用意できる体制に見合う運用を導入以前より確認し、運用可能な機能から徐々に公開していくことも賢い導入立上げ方法と言えます。

CMSについて、現時点で気がついたことを記述してきましたが、CMSはウェブサイト管理のツールでしかないということを改めて申上げておきます。CMSの有効な活用方法、またCMS導入に際し重要である移行作業について、別の機会にご紹介したいと思います。

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