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第2回 コンサルタント座談会 - アクセシビリティ導入のメリット(前半)
利用者を意識したツール導入

[ 2006年7月21日 ]

執筆担当
伊敷 政英
(いしき まさひで)



「アライド・ブレインズのアクセシビリティコンサルタントをより身近に感じてもらおう」という目的で、コンサルタントたちが普段考えていること、感じていることを話し合う座談会の第2回目です。今回は話題が多岐に渡ったので、前半・後半の2回に分けてご紹介します。

自己紹介

伊敷:  第2回コンサルタント座談会のテーマは、「アクセシビリティ導入のメリット」ということで、主に民間企業のウェブ担当者に聞いていただきたい内容について話し合いたいと思います。今日参加の3名は、弊社の取締役副社長の目次(めつぎ)さん、コンサルタントの大久保さん、長命さんです。簡単に自己紹介をお願いします。

めつぎの写真目次:  私は、この業界は25年くらいになるのですが、もともと19年くらいSI関係の会社におりました。その後IBMのグループ会社を立ち上げてデータベースを広く展開していくということをしていましたが、その中でアクセシビリティというテーマに出会いました。
アライド・ブレインズに入ってからは、主にCMS導入の検討に関わってきました。CMSもここ数年でいろいろな変遷をしてきています。自治体の導入も増えていますが、自治体と民間企業で導入の仕方も、求めているものも違っています。いろいろな企業やユーザーに関わった経験に触れながらお話していければいいと思います。

長命:  私はアライド入社以前に、ウェブ制作会社でディレクターとして、SEO対策をしたウェブ制作を担当しており、これまで約30社のウェブサイトを作りました。民間企業のウェブサイトの制作に関して、一通りの理解はしていると思います。民間会社もほとんどがウェブサイトは使いやすい方が良いという認識を持っており、かつSEOとアクセシビリティが制作段階の手順として、作業レベルで非常に近いものをもっているということで、SEOが世の中で流行っている中、民間企業にもアクセシビリティを取り込む下地ができているのではないかと感じます。

大久保の写真大久保:  私がアクセシビリティに携わることになったきっかけは、2001年の総務省ウェブアクセシビリティ実証実験の支援です。今まで自分が想像していなかったような人がウェブを使っている、あるいは想像していなかった多様な使い方によってウェブが利用されていることを実感する現場に立ち会ったことで強い衝撃を受けました。以後アライド・ブレインズのアクセシビリティの仕事全般に関わっています。このA.A.O.というサイトの立ち上げにも参加していますし、A-COMPASSの開発プロジェクトにも関わりました。最近では、総務省の「みんなの公共サイト運用モデル」検討のご支援などをしながら、公共機関や民間企業の皆さんのアクセシビリティの取り組み全般をいろいろな形でサポートする仕事をさせていただいています。

CMSは導入前に十分な検討が重要

伊敷:  それでは、まず目次さん、CMSを導入した際に、アクセシビリティ的にはどのような良いことがあると思いますか。

目次:  公共系のところでは、アクセシビリティについて何となく聞いたことがあるという程度に知っている方が結構多くなってきたと思うのですが、民間企業の場合は、まったく知らないという方のほうが多いと思います。

CMSの話でいえば、民間企業には、アクセシビリティを実現するためにCMSを導入しようとか、CMSを導入したらアクセシブルになるか、という考え方はほとんどないと思います。一方、公共系の方の場合、CMSに非常に期待が大きく、CMSを入れればアクセシブルになる、アクセシビリティを強化、実現するためにCMSを入れると言う方がいらっしゃいます。

民間企業の方が、アクセシビリティのことを意識していないけれど、CMSを導入した場合に、結果としてアクセシビリティに配慮したような形になることはあると思います。特に大きなサイトになれば、テンプレートを上手く使うことによって、全体のデザインの統一感、あるいは全体のなかのカテゴリーごとの統一感を持たせるということで、結果的にアクセシビリティ、ユーザビリティに配慮した形になりやすいということではないでしょうか。

最初からテンプレートやCMSの機能を上手く使ってアクセシブルにしていかなければならないという形で導入されたケースは、CMSの機能をより有効に使ってアクセシビリティを高めていると思います。結局、どのように使うか、どのように意識してやるかということが大切だと思います。所詮ツールでしかないわけですから。極端なことをいえば、CMSを導入しなくても、CMSを導入しているケースよりももっとアクセシブルに作っているサイトというのが山のようにあります。CMSが無くてもアクセシブルであるサイトのほうが、むしろ多いのかもしれません。

伊敷:  テンプレートを作る前からアクセシビリティのことを考え、例えばテンプレートに盛り込む画像に適切なAltを入れようとか、ポップアップメニューが出るようなナビゲーションは作らないなどの検討を、CMS導入以前のところでできれば、よりサイト全体のアクセシビリティが高くなると思います。

目次:  その通りだと思います。結局、CMSを導入する前に、いかにやらなければならないことをやっているか、何をやれば良いかという現状を理解することが重要です。新規で作るのであればどのようなサイトを作りたいか、既存のサイトであればどのようになっており、どこが問題なのか、どのように改善するのか、その改善はどこまでやるのか、というようなことをきちんと決めます。同時に、アクセシビリティに関してどこまで達成するのかという目標を明確にしていく。そのような要求仕様のようなものを洗い出しておいて、その上でCMSの中で実現できるもの、ツールとして上手く活用すれば実現できるものはこれとこれであると。逆にCMSの機能が達成目標や要求仕様にとって障害になる場合もあるかもしれませんね。テンプレートの場合にありがちなことは、テンプレートにテキストなどを入れた後に、CMSの中で公開前に余計なタグを入れてしまうこと。テンプレートがあればアクセシブルになるかというとそうではないですよね。結局みんなが、テンプレートの中のテキストを書き、そのテキスト文書自体がアクセシビリティに配慮された文書でなければ何の意味もないですよね。例えば、そのなかに機種依存文字を使っていたりとか。

伊敷:  導入後に運用上で気を付けることや、運用する人にどのような研修をするか、運用のガイドラインをどうするかということを事前に検討しておく必要があるということですね。

目次:  テンプレートがあろうがなかろうが、実際にコンテンツを作ってらっしゃる方がどのような文書を作るかがスタートラインになるのではないでしょうか。これは、アクセシビリティという観点からでもありますが、海外だとリーダビリティと言われています。日本では、難しい言葉や表現を使う方がかっこいいという風潮がまだありますが、海外でそれは許されないですよね。極端なことを言えば小学生でも分かるような、誰でも分かる文章や表現にしなさいということです。

長命:  CMSは確かに、導入する段階でテンプレートを入れることによって、アクセシビリティがある程度確保されることはあると思います。テンプレートを作るにも、例えばどのようなデザインにするか、カテゴリーをどうするかなど、ナビゲーションを決める時に問題として浮上してきて、意思決定を突きつけられるわけですよね。そのような場合に、何も考えずにテンプレートを作っても、結局、跳ね返ってきて考えることになります。逆に言うと、カテゴリーの検討など、業者まかせにして、自分達は考えないで良いという時が危ない。自分達が本当に正しいのだろうかと疑ったほうが良いのではないでしょうか。テンプレートの導入の段階を経て、中身のアクセシビリティについて、文章やAlt属性など、きちんとなされていないとアクセシビリティが失われていくので、ガイドラインや研修で担保していくという2段ステップなのかなという気がします。

大久保:  最近は少なくなりましたが、アクセシビリティを全く配慮していないテンプレートによって、大量に配慮されていないページが生成されてしまった状態で公開されている例が結構ありました。それは、事前の検討をしなければならないということを提供主体の方が全く意識していなかったか、業者さんに丸投げをしてしまったかのどちらかではないかと思いますが、一番不幸な例だと思います。

CMSを入れるという工程を経ることで、重要なことを考えるチャンスがたくさん出てくるということだと思うのですが、それを逃さずに、サイトときちんと向き合う機会として使ってほしいですね。

膨大なお金をかけて、サイトとも向き合わなくて、裏でシステムだけ入りましたというのはもったいない話ですよね。

目次:  ただCMS自体は非常に進化していて、例えばAltの入っていないものについてはワーニングを出したり、画像にAltが付いていないと反映できないものもあります。あるいは、テンプレートで書いた後、簡単なアクセシビリティのチェックをプレビューの段階でしてくれるというのもあります。ただ、機械的にできる範囲でしかチェックできないので、そもそも各文書がアクセシビリティに配慮しているか、読む人のことを配慮し文章を書けているかという、突き詰めれば根本的なところにいくのではないでしょうか。

でも、そこに立ち戻るような意識を持っているかどうか。略語で書いてしまったり、自分の会社や組織の中でしか通用しない言葉をついつい書いてしまったり。このようなコンサルティングの仕事をしていると、新しい情報を習得して、勉強しなければならないとき、略語がたくさん出てきます。例えば、「CMS」といっても金融では全く違う意味だったりしますので、簡単な説明書きをどこかに入れておくことも必要かもしれないですね。そのような根本に立ち返った上で、初めてCMSが機能していくのかなと思います。

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