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災害時の情報受発信
第1回:3.11 その時視覚・聴覚障害者は…

[ 2011年9月20日 ]


テレビニュース、計画停電、原発事故の情報が得られない

震災当日の夜から、すべてのテレビ番組は地震や津波、被災状況に関する報道になりました。私はテレビとラジオを両方つけて、さらにTwitterとmixiを使って情報収集していました。すると、聴覚障害を持つ知人が、「僕たちはテレビからしか情報を得られないのに、テレビニュースには字幕がなくて困る」とTwitterでつぶやいているのを見つけ、テレビやラジオで流されていることをできる限りつぶやくようにし、また「記者会見や報道には字幕をつけてほしい」という内容のつぶやきもしました。ほかにも多くの聴覚障害者や支援者から同様のつぶやきがあったようです。数日たつとボランティアの手によって、震災のニュースを手話通訳した動画がニコニコ動画で配信されるようになりました。その後政府の記者会見やNHKの震災関連ニュースなどでも手話や字幕がつけられるようになっていきました。

また首都圏では計画停電や特別ダイヤによる鉄道運行が行われるようになりました。さらに福島第一原子力発電所の事故が深刻化してくるにつれ、大学や出版社から原発の仕組みや放射性物質に関する情報が提供されました。ところが、こういった情報はPDF文書として発信されることが多く、視覚障害者には伝わりにくいものとなってしまいました。全盲の視覚障害を持つ友人は、自分が住んでいる地域での計画停電のスケジュールを知りたいと思っていたのですが、該当する資料は紙の資料をスキャンして作成されたPDF文書だったために情報を得ることができず、Twitterで「どなたか見える人、教えてください」とつぶやいていました。するとこのつぶやきに最初に答えたのは、聴覚障害を持つ彼の友人でした。視覚障害者と聴覚障害者がTwitterでやりとりし、必要な情報をシェアすることができました。

また1歳半の子供を持つ全盲の友人は、「放射性物質に関する基本的な知識や子供への影響について知りたいけれど、ウェブサイトには断片的な情報しかないし、まとまった情報はPDFでしか出ていなくて…」とこぼしていました。東京都水道局の水から放射性物質が検出され、1歳未満の子供への摂取制限が発表された頃だったので、かなり不安だったのだろうと思います。彼はネットで調べられるだけ調べたうえで、自分が知りたい情報が書いてありそうなPDFや画像の資料を集めてご両親や友人に説明してもらっていました。

災害時の情報発信に求められる「即時性」と「アクセシビリティ」

3月11日から数日間を振り返ると、まずソーシャルメディア、特にTwitterがとても便利だったと感じます。理由としては、デマや誤情報もありましたが、それでも多くの情報が即時性を持ってもたらされたこと、またその情報がテキストだったことが考えられます。テキストによる情報はパソコンだけでなく携帯電話、テレビのデータ放送など多くの環境で利用することができます。音声や点字、拡大文字への変換も容易であり、災害時の情報発信には最も適した形式です。

また情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)が7月26日に公開した調査結果によると、震災当日以降役に立った情報サービスについて「自治体」と答えた人が多くいます。この結果からも、災害時における自治体からの情報発信がいかに重要であるかうかがえるでしょう。

災害時の情報発信には当然即時性が求められます。まずは情報を出すことが先決です。情報があれば、たとえそれを読めない人がいたとしても、家族や友人、あるいはソーシャルメディアを通じて情報を知ることができます。したがって「アクセシビリティが確保されない形での情報提供をしてはいけない」とは言えません。

しかし、そこにはタイムラグが生じてしまいます。情報へのアクセシビリティが低いということは、アクセシブルな情報を必要としている障害者に対する即時性を欠いてしまっていることを認識しなければなりません。情報弱者といわれる視覚障害者、聴覚障害者は災害弱者でもあります。こういった人々にも正確な情報をできる限り早く届けるためにはやはり、ウェブアクセシビリティの確保が欠かせません。ウェブアクセシビリティの確保は継続的、組織的な取り組みが必要となるため一朝一夕にはできません。普段から体制づくりを進め、災害時における情報発信の手順やガイドラインを整備していることが必要になります。

日本は地震大国です。台風もやってきます。7月下旬には、新潟県や福島県で豪雨によって河川が氾濫し多くの方が避難を余儀なくされていました。今こそ、災害時の情報発信の在り方、アクセシビリティの重要性について考え、議論し、行動を始める時ではないでしょうか。

参考リンク

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