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求められる電子政府・電子自治体のユーザビリティ向上
第3回 提供サービスの使いやすさの現状を知る

[ 2009年10月7日 ]

執筆担当
田崎 史子(たさき ふみこ)



本連載の第1回第2回でご紹介したとおり、電子政府ユーザビリティガイドラインはウェブサイトを利用したオンライン申請システム等を新規開発したり改修したりする際に、「企画」「設計・開発」「運用」「評価」の4段階で、省庁の担当者がユーザビリティ向上のために取り組むべきことについて示しています。
今回は、企画段階における取り組みについてご説明します。

1.企画段階で取り組むべきこと

省庁のシステム担当者がシステムの新規開発、改修の「企画」段階で取り組むべきこととして、電子政府ユーザユーザビリティガイドライン(以下ガイドラインと記述)では以下の5つが定められています。

  • (1) 実施体制の構築
  • (2) ユーザビリティ向上の基本方針の検討
  • (3) 現状システムの課題分析
  • (4) 要件の検討と提案依頼書の作成
  • (5) ユーザビリティ向上計画の作成・公表

企画段階での取り組みは、ユーザビリティ向上活動の中でも特に重要であり、ガイドラインでも重点的に解説されています。今回は、前半の(1)~(3)について解説します。

2.ユーザビリティ向上に必要な体制をつくる

オンライン申請システムのユーザビリティ向上に取り組むためには、対象システムを所管する部署だけでなく、システム利用者と接点がある対象手続の所管部署を含めた横断的な体制の構築が必要です。なぜなら、ユーザビリティ向上のためには各システムの利用者の特性やニーズを理解することが不可欠で、想定利用者層の協力を得る必要があるからです。

また、電子政府については、各省庁の電子申請システムを統合した総合窓口(e-Gov)の構築が進められていますが、e-Govのような共同システムを利用している場合は特に、関係府省の横断的・一体的な実施体制を作ることが求められます。

なお、ガイドラインでは「必要に応じてユーザビリティについて十分な専門性と支援能力を備えたユーザビリティ専門家を選定すること」と記されています。政府のガイドラインに、ユーザビリティ専門家の支援の必要性が明記されたのは初めてのことであり、本ガイドラインの特徴の一つといえます。

3.ユーザビリティ向上の前提条件を整理する

体制を整えた上で、ユーザビリティ向上活動の前提となることがらを整理します。
ひとつは、対象システムに関する各種の計画や戦略を確認することです。オンライン申請システムには、システムのリプレース、機能の拡充、アクセス手段の多様化等、様々な計画、戦略が設定されている場合があります。これらはユーザビリティ向上とも密接に関係することが多く、これらを踏まえてユーザビリティ向上の取り組みを計画する必要があります。

もうひとつは、当面のユーザビリティ向上の対象手続を選定することです。システム全体としてユーザビリティが向上することが最終目標ではありますが、オンライン申請システムでは多数の手続を用意していることが多いため、まず利用度が高い手続等に対象を絞って、効率的にユーザビリティ向上を図ることが求められます。

4.想定利用者の特性とニーズを把握する

オンライン申請システムのユーザビリティ向上のためには、何よりもまず、システム利用者の特性やシステムに対するニーズを正しく把握することが不可欠です。対象手続を利用する人たちはどのような特性をもっているか、オンライン申請システムに対してどのような利用ニーズを抱いているかを把握する手法として、ガイドラインにはアンケート調査、インタビュー調査等の手法が例示されています。

ここでいう「特性」とは、利用者の年齢層や、対象業務に対する専門性、対象となる申請手続きの実施頻度、ITリテラシー(パソコンやインターネットなどを使いこなす能力)などを指します。また、利用ニーズに関しては、想定利用者にオンライン申請を「使ってもらえる条件」が何かを知ることが重要です。例えば、申請1件にかけてもよい時間はどれくらいか、窓口へ行く必要をなくすためにはオンラインで何ができる必要があるか、といったことの確認が必要になります。

アンケートやインタビュー等を通じて得られた想定利用者層の実態データを基に「どのような人々がシステム(対象手続)を利用するのか」「どのような条件なら、その人々が(書面申請ではなく)オンライン申請を選択してくれるのか」を具体化し、利用品質目標を設定します。利用品質目標とは、ユーザビリティ向上のためにシステム改修等を行った後のシステムが達成すべき使いやすさのレベルを、具体的な数値で示したものです。なお、利用品質目標については、次回のコラムで詳しくご紹介します。

5.システムの現状を把握する

想定利用者の現状把握と並行して、現在のシステムの使いやすさの現状把握および課題分析を行い、ユーザビリティ向上のための要件を洗い出します。

既存システムの現状評価・課題分析の手法として、ガイドラインには、共通設計指針(各府省が共通的にオンライン申請システムの設計に取り入れる必要がある事項)の確認、想定利用者層アンケート調査、想定利用者層インタビュー調査、ヘルプデスクで収集した情報、ログ分析、ユーザビリティテストなどが例示されています(図1)。「共通設計指針」は、ユーザビリティの大原則を整理した重要な指針です。具体的な内容については第1回のコラムをご参照ください。

図1 現状システムの課題分析(図1の説明
図1

ユーザビリティ向上の観点からシステムの現状を把握するには、現状システムを模擬的に操作して問題点を抽出する「ユーザビリティテスト」が有効です。ガイドラインでも、現状システムの課題分析において、システムの想定利用者によるユーザビリティテストの実施が必須事項とされています。テストでは、想定利用者に対象システムを模擬的に操作してもらい、使い方が分からなくなったり、間違った選択をした箇所等を記録します。テスト実施後に、なぜそうした問題が生じたのかを検討し、現状システムの課題として整理します。

ユーザビリティテストにはユーザビリティ専門家が行うテストもありますが、本来の想定利用者によるテストの場合、専門家やシステム運営担当者・開発者の想定外の問題点が発見されることも多く、より説得力のある結果が得られます。また、システム開発・運用の関係者はともすれば利用者の実際の姿を知らないことも多いため、関係者がテスト現場に同席することでユーザビリティの重要性や利用者に対する理解を深められる、といった効果も期待できます。

システムの現状と課題が整理できたところで、解決方針を検討します。解決策の検討については、次回(第4回)「ユーザビリティ向上のための目標と計画を立てる」において解説します。

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