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データで診る自治体サイト

No.6 情報の探しやすさとリンク階層

情報を探しやすいサイト

ウェブサイトで提供する情報内容の良し悪しやデザインの新鮮さだけでなく、情報が探しやすいサイトかどうかという観点が重視されるようになりました。サイト担当者の方にとっても気になる問題ではないでしょうか。

情報が探しやすいかそうでないかは、一つの決まった方程式により決まるわけではなく、利用者の印象に大きな影響を与える要素が複数あります。たとえば、提供される情報やサービスの内容、情報量、分類、ナビゲーションの仕組み、配置、文字の大きさ色使いのようなデザインなどが挙げられます。

今回のコラムでは、重要な要素の一つである「リンク階層」について、「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」の結果を基に考えてみましょう。

リンク階層の深さとページ数の分布

調査で使用したウェブサイト解析プログラムCRONOS2では、サイト内各ページについて、トップページから最短で何クリック目に到達できるかという情報を収集しています。

トップページから情報を探す場合に、3クリックや4クリックくらいで目的とした情報にたどり着けた場合と、10クリックや15クリックしてたどり着けた場合とでは、利用者の印象が大きく異なりそうだということはイメージしていただけるでしょう。利用者の中には、15クリックをする前に「見つからない」と感じて情報を探すのをあきらめてしまう人も入るかもしれません。

「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」では、180の自治体サイトについてアクセシビリティを中心にした調査を行いましたが、アライド・ブレインズでは、各サイトのリンク階層の深さとページ数の分布についても分析を進めています。

代表的なふたつのパターン

調査結果のうち代表的なパターンをふたつご紹介します。

パターン1

トップページからのリンクの3階層、4階層、5階層あたりに、ページ数の分布のピークがあり、それより深い階層のページ数は極端に減少しているというパターンです。このようなサイトでは、多くの情報に3クリック~5クリック程度で到達可能だと想定されます。

パターン1のグラフ
パターン1の階層とページ数の関係を示すグラフ

パターン2

トップページからのリンクの4階層あたりにページ数の分布のピークがあるものの、それより深い7階層、8階層あたりまでピークからのページ数減少が緩やかで多くのページが存在するというパターンです。9階層目あたりからページ数が減少しますが、このようなパターンのサイトでは、20階層あるいは30階層といった非常に深い階層にもページが存在することが多いのが特徴です。20クリック、30クリックしないとたどり着けない場合、利用者によってはそのことが原因で情報を発見できないかもしれません。

パターン2のグラフ
パターン2の階層とページ数の関係を示すグラフ

サイト構造の検討についてサイト全体を対象に行えているか

両パターンの差は何が原因で生じているのでしょうか。各パターンに当てはまるサイトの内容を実際に確認してみるとよく分かります。

パターン1は、情報の分類や階層設定、ナビゲーションの仕組みといったサイト構造について、サイト全体を対象に検討がなされていると見受けられます。さらに、見た目などからの印象としては、比較的最近にこれらの検討を行ったものと推察されます。

パターン2は、サイト構造の検討がサイト全体を対象には行えていないと見受けられます。トップページのメニューなど上層の構成は整理されている場合もあるのですが、サイトの下層におりていくと、情報が整理されていません。おそらくは、相当以前に構築されたサイトであり、サイト構造の見直しを行わないまま、長年にわたり無造作にページ追加やサイト内サイトの追加を行い、現在に至っているものと推察されます。

ちなみに、両パターンにはCMS(コンテンツマネジメントシステム)の有無による傾向は確認できません。CMS導入していてもパターン2のケースは多々あるということです。つまり、システム導入の有無による違いではなく、サイト構造の検討をサイト全体を対象にきちんと行えているかといった違いだと考えられます。

リンク階層が浅ければ良いというものではない

パターン1を実現するためには、運営の方針に基づいてサイト構造が検討され、その構造に従った情報追加を行っていくことが必要です。そのように構築・運用されているサイトは、結果的にリンク階層も一定の範囲に収まり、比較的少ないクリック数で多くの情報にたどり着けるようになると考えられます。

ページの追加や、サイト内サイトの開設は、都度必要に応じて行われるものです。サイトの下層に無秩序に情報が追加される状況が続くと、パターン2のようなページ分布となり、サイト担当者ですら「どこにどのような情報があるのか」「どこをたどったらその情報に行き着けるか」といったことが分からないというサイトになってしまいます。

ここで注意が必要なのは、単純にリンク階層を浅くすれば良いという話ではないということです。情報の分類などサイト構造の適切な検討なしに、リンク階層を減らそうとすることだけにとらわれると、上層のメニューページ内に20も30もだらだらとリンクが並ぶ、情報を探しにくいサイトになってしまいます。

また、情報量の増加が激しいサイトでは、数年もすると、過去に検討したサイト構造を維持するのが難しくなります。提供される情報のバランスが変わったり、利用者の必要とする情報の種類が変わったりするためです。少なくとも2~3年程度に1回を目安に、サイトで提供しているコンテンツの棚卸しとサイト構造の再構築をお勧めします。


A.A.O.では、「多くの利用者が快適に利用でき、目的をきちんと達成できるホームページを目指していただきたい。その中でアクセシビリティを漏らさずに実施いただきたい」という立場から情報発信や、個別事例の様々なご支援をしています。総合的な観点からサイト改善を考えていただくひとつの視点として、今回は「リンク階層」をテーマにご紹介しました。

このコラムは最終回となりますが、A.A.O.では引き続き様々な新企画を用意し、皆様のお役に立つ情報発信をしていきたいと考えています。また、自治体など公共機関のホームページの実態調査については、今年度も計画しています。詳細が確定次第、A.A.O.にて告知予定です。

【ご参考】
サイト構造(IA)/ユーザビリティ診断(アライド・ブレインズ)
メニューカテゴリの再設計(アライド・ブレインズ)

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている全ページについて、問題の有無を確認できます。
  • リンク階層別に、ファイル数の分布を確認できます。
  • リンク階層別に、アクセシビリティなどの問題のあるページ数を確認できます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

No.5 調査結果とCMSとの関係

CMSを導入したサイトはアクセシビリティ対応が出来ている?

CMS(コンテンツマネジメントシステム)は、ウェブサイトの更新管理やページ制作を支援するプログラムの総称です。主に、複数の担当者や複数の部署が頻繁に情報発信をするようなサイトで効果を発揮します。昨今の自治体サイトでは、発信する情報量が飛躍的に増え、管理の負荷が増大していることから、導入する事例が増えつつあります。

様々な自治体や公共機関等でお話を伺うと、「CMSを導入すると良いサイトになる」と認識されているウェブ担当者の方が多いようです。その認識を前提とすると、「CMSを導入している自治体のサイトは、閲覧者にとって使い勝手の良いサイトになっている、またアクセシビリティ対応がきちんと出来たサイトになっている」という仮説が成り立ちそうですが、実態はどうでしょうか。答えは、Noです。

Dレベル、Eレベルにも、CMS導入済み自治体サイトが散見

「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」の結果を見てみましょう。この調査では、180自治体について、サイト全体のアクセシビリティの状況について5段階のレベル(A,B,C,D,E)を設定し評価しています。

調査結果とCMS導入有無の関係を見ると、CMSを導入している自治体で、アクセシビリティの状況が良いとは言えないDレベル、Eレベルのところが散見されます。その一方、調査結果で最も評価の高いAレベルとなった4自治体は、全てCMSを導入していることもまた事実です。これら二つの一見矛盾したようにもとれる事実は、どうして起こっているのでしょうか。

この結果から読み取らなければならないのは、使い勝手の良いウェブサイトにし、かつアクセシビリティ対応をきちんと行うには、CMS導入自体よりもっと重要なことがあるということです。CMSは使い方によっては大変有効なツールです。しかし、その利点を活かしAレベルとなったのが4自治体しかないという結果から、CMSを導入した自治体の多くが使い方(導入の仕方、運用の仕方)を間違っている可能性が高いと考えねばなりません。

導入時の問題が最も大きい

まず、導入の仕方に起因する問題から考えてみましょう。導入時にはCMS導入の正否を左右する様々な注意点があり、このコラムの中で全てをご紹介することはできませんが、代表的なのは以下の4点です。

  1. 業者選定の仕様書において、導入の目的・達成目標、必要な機能・条件を明示できていない
  2. 情報の分類、ナビゲーションやページ内レイアウトなどのサイト構造の設計がきちんとできていない
  3. テンプレートの設計時にアクセシビリティ等の配慮や、対応技術が足りていない
  4. コンテンツ移行の計画に問題があったり、移行の際のアクセシビリティ配慮等の基準が適切に用意されていない

CMSの利点を活かすために不可欠な準備

CMSは「運用する自治体の事情やコンテンツの状況に関わりなく素晴らしいサイトを自動的に生み出してくれる魔法の玉手箱」ではありません。発注仕様書におい て、目的や目標、機能や条件を具体的に提示できなければ、その自治体サイトに見合ったCMSには出会えないでしょう。
また、サイトの構造設計が利用者の使い勝手を考慮できていない場合は、CMSを導入しても裏側の仕組みが変わったに過ぎず、利用者には良いことがありません。

生成するページの雛形であるテンプレートの設計も重要です。たとえば今回の調査結果では、テンプレートにアクセシビリティの配慮対応が足りていなかったために、全ページで共通の問題が生じ、Eレベルになってしまった自治体サイトがありました。

コンテンツ移行も大変重要です。導入時にうまく計画を立て、「できるだけ多くのコンテンツをアクセシビリティ配慮等を十分に行った状態に変換して移し変える こと」が目標になります。このためには、必要なページの取捨選択、移行の手順、アクセシビリティ対応基準書の整備などが必要となります。
これからCMSを導入しようという自治体では、4点への対応によほど力を入れないと、DレベルやEレベルに留まってしまった自治体と同じ結果になる可能性が高いと考えてください。CMSの利点を活かすために不可欠な前提として、十分に検討をいただきたいと思います。

CMSを運用する手順と体制の整備

CMSのテンプレートは、入力項目を極限まで共通化したものから、職員の方がWord感覚で内容を用意できるものまで、自由度の設定に大きな幅があります。自由度を少なくしテンプレートのアクセシビリティ対応等を徹底してしまえば、一定の品質を確保したページをサイト全体で提供できるようになります。しかし、あまりにも画一化された形での情報発信は、必ずしも利用者が使いやすいものになるとは限りません。また表現の自由度も制約されるため、多くの自治体では、多かれ少なかれある程度の自由度を残すことになると思います。この場合、以下の2点が問題になります。

  1. 自由に表現できる範囲において、現場の職員の方が問題なく制作が行えるか
  2. 問題なく制作されているかを公開前にどのように判断し品質を維持するか

CMS導入の有無よりも大切なこと

上記の1に関しては、職員研修の徹底や、マニュアル等の支援文書をどのように用意するかが重要となります。自由度を持たせた範囲に絞って、必要な配慮や対応方法を周知していくことが目標になります。

上 記の2に関しては、チェックの手順をどのように設定するかが重要となります。たとえば、最近のCMSにはアクセシビリティのチェック機能を備えたものもあ りますが、これを制作・公開の手順のどの段階で誰が行うか。また、アクセシビリティの重要な事柄の多くはプログラムによる自動判定ができませんが、これら の判断をどの段階で誰が行うか。その判断の根拠となるべきガイドラインはどのように整備するか。

CMSにより枠組みを用意したとしても、発信する情報の内容を用意し、その中身やアクセシビリティ等の良し悪しを判断するのはやはり職員の方ということになります。これらの手順と体制作りは、CMS導入自体よりもずっと大切なことではないでしょうか。

次回(3月14日予定)は、情報の探しやすさにおける階層構造の重要性をテーマにコラムを掲載します。

【ご参考】
CMS導入検討支援サービスの概要(アライド・ブレインズ)

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている全ページについて、問題の有無を確認できます。
  • CMS導入検討時にサイト全体に関する基礎情報を得ることにより、CMSに求められる条件を洗い出し、発注仕様に反映することができます。
  • CMS導入前にサイト全体の問題点を詳細に把握することにより、コンテンツ移行作業の目標を具体的に設定することができます。
  • 移行したコンテンツについて、ケアレスミスの洗い出しなどの品質検証、検収に活用することができます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

No.4 構造化対応の傾向と求められる対応

文書を読みやすくする工夫

文書は、一般に「大・中・小の見出し」「段落」「箇条書き」などによって構成されています。これらを文書の構造と言います。

たとえばこのコラムでは、見出しを複数設け、背景をグレーにし文字は太字として、内容を書いた段落部分よりも目立つように表現しています。凝ったデザインとは言えませんが、同じ文字の大きさでだらだら続くよりは多少読みやすくないでしょうか。

文書の構造は、多くの場合、読み手が内容を読みやすいように、文字の大きさや色や太さの違い、ページ内での配置の違いなどで表現されます。皆さんもWordなどを使って文書を作成する際は、配慮して作成していると思います。

構造化って何だ!?

しかしご存知のとおり、ウェブサイトにアクセスするのは目が見えている人だけとは限りません。たとえば、音声読み上げソフトを使い、音で内容を読んでいる人は、文字の大きさや太さを違えてあっても、そのことが分かりません。また、検索エンジンなどのプログラムがサイトの内容を解析する際も似たようなことが起きます。ページの中のどの部分が見出しなのか、どの部分が強調して伝えたい部分なのかを把握出来ないことが多いのです。

このようなウェブサイトへの多様なアクセスに対応するために行うのが、文書の構造指定(構造化)です。具体的には、HTMLのソースで構造を示すタグを付けるという対応を行います。ページ内で登場する様々な文章や画像などに対して、この部分は「見出し」、この部分は「段落」、この部分は「強調して伝えたい部分」といった構造を示すタグを付けます。

後に詳しく記載しますが、この構造化は、今後のウェブサイトにとって非常に重要な対応となります。

対応の出来ている自治体と出来ていない自治体の差が大きい

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」では、ウェブサイト解析プログラムCRONOS2を用い、自治体サイトにおける構造化の状況を調査しました。調査の結果は大まかに以下の通りとなりました。

  • (1)構造化指定の出来ているページが、サイト全体の5割以上・・・13自治体
  • (2)構造化指定の出来ているページが、サイト全体の1割以上(5割以下)・・・46自治体
  • (3)構造化指定の出来ているページが、サイト全体の1割以下・・・121自治体

上記のうち(1)は、サイト全体で概ね構造化指定が出来ていると考えられます。13自治体のうち6自治体は、Aレベルの条件である「構造化指定7割以上」を超えており、そのうち5自治体は9割を超えています。次に(2)の内訳を見ると、3割を超える自治体は、46自治体のうち8自治体で、約半数は2割以下です。これらの自治体は、サイトの一部分で構造化指定に着手している状態と考えられます。最後に(3)の中には1%以下のところも32自治体あります。構造化をほぼ全く行っていないか、不適切な指定になっている可能性が高いと考えられます。

構造化指定の出来ているページが9割を超えている一部の自治体と、数%にも満たない自治体とでは、その差はページのソースを見ると一目瞭然です。調査対象の180自治体については残念ながら後者が大部分を占めましたが、このような自治体サイトは、時代の流れに対応できていない古い作りのページのまま運営されている状態であると言えます。

構造化のメリットとは?

構造化指定の出来ているサイトと出来ていないサイトとで、具体的にどのような違いが生じるでしょうか。様々なケースが想定されますが、いくつかをご紹介します。

  • 音声読み上げソフトなどの様々な利用者支援機能が有効になる
  • 検索エンジンのキーワード検索でより適切に結果表示されるようになる
  • リニューアルやCMS(コンテンツマネジメントシステム)導入時の、ページ内容の移し替えの負荷(コンテンツ移行負荷)が激減する

コンテンツ移行負荷に多大な差が生じる

このうち、音声読み上げソフトなどでの効果は利用者側で感じられるものです。ウェブサイトの利用形態は日々多様化しており、サイト担当者には、そのような時代の変化に合わせ、ページの作り方も適切なものへと変えていくことが求められています。

また、情報探索において検索エンジンの役割が非常に大きくなった昨今では、検索結果表示に適切に表示されるための対策(SEO:Search Engine Optimization)も、極めて重要になっています。

さらに、サイト担当者にとって直接影響があるのは最後の「移行負荷」への影響でしょう。多くのサイトでは、2~4年程度の周期でリニューアルプロジェクトが行われます。また、CMS導入に伴いシステムへ各ページの内容を移行するプロジェクトも多数行われています。このようなプロジェクトにおいては、構造化指定がきちんとなされそれに合わせた適切なHTML記述になっているページを扱う場合と、そうでない旧来のページを扱う場合とでは、移行の負荷が全く異なります。ページ数が数万を超えていることの多い自治体サイトでは、この差はきわめて大きく、経費に換算すると数百万円から場合によっては数千万円の違いが生じる可能性があります。

次回(3月7日予定)は、調査結果とCMSとの関係をテーマにコラムを掲載します。昨今導入事例の増えているCMSは、アクセシビリティ対応から見た場合に効果があると言えるでしょうか。上記の移行負荷の話も含めご紹介したいと思います。

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている全ページについて、問題の有無を確認できます。
  • 構造化指定の状況を、ディレクトリ別に集計することが出来ます。
  • オプションサービスの「基本解析データ」を使い、構造化指定に問題のあるページを具体的に把握し、修正計画の検討や、修正指示に活用することが出来ます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

No.3 代替テキスト対応状況の傾向

アクセシビリティの最も基本的な配慮

代替テキストとは、皆さんご存じのとおり、画像を読めない利用者への配慮としてページの作成時に用意するものです。
ウェブサイトでは、リンクメニューや文章の見出し、お知らせの内容など重要な情報が画像を用いて表現される場合があります。そのため、画像に代替テキストの無いページでは、音声読み上げソフトの利用者などが提供されている情報を適切に把握出来ないという問題が生じています。
数あるアクセシビリティの問題の中でも極めて深刻であることから、画像に代替テキストを用意することは、アクセシビリティの最も基本的な配慮とされ、サイト管理者や制作者の間でもこの数年の間にだいぶ知られるようになりました。

サイトの半数のページで配慮が全く無い自治体も

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」では、ウェブサイト解析プログラムCRONOS2を用い、自治体サイトにおける代替テキストの状況を調査しました。
この調査では、サイト全体のアクセシビリティの状況について5段階のレベル(A,B,C,D,E)を設定し評価しています。最も評価の高いAレベルを獲得する条件の一つが、「画像に対する代替テキストがきちんと用意されているページの割合がサイト全体の9割を超えること」となっていましたが、これを満たしたのは、調査対象とした自治体180サイト(人口20万人以上自治体及び東京23区)のうち34という結果となりました。

ウェブアクセシビリティは、人口規模の比較的大きな自治体から対応が進みつつあるという傾向があり、今回対象とした180自治体は、自治体全体のアクセシビリティ対応をリードしていくべき立場にいらっしゃるとも言えます。そのような認識から今回の結果を見ると、アクセシビリティ対応はまだ道半ば以前と言えるのではないかと思います。
調査対象の中には、対応にかなり問題がある自治体サイトがありました。ページ内の画像に対する代替テキストが一つも用意されていないページが、サイト全体の3割を超える自治体が16ありました。中には、サイト全体の5割を超える自治体も複数あります。このようなサイトでは、情報を探せなかったり、読み取れ無かったりという問題が頻繁に生じているはずです。

代替テキストに配慮の無いページは他の問題も多い

この調査では、代替テキストを「アクセシビリティの基本的な配慮を象徴するもの」と位置づけて調査項目としました。前述のとおり、極めて深刻な問題への配慮であることが一番の理由ですが、実はもう一つ理由があります。
様々なサイトの診断や改善支援を担当してきた経験から、代替テキストの配慮が出来ていないページでは、その他のアクセシビリティ配慮も不十分であることがほとんどであると実感しています。たとえば、リンクテキストが分かりにくかったり、色使いに配慮が無かったり、ページのタイトルがついていなかったりというケースが多々見受けられます。
サイトに関する解析データを見るときに、「代替テキストに配慮の無いページの割合」について、「代替テキストに限らず、アクセシビリティに重要な問題がある可能性が高いページの割合」と読み替えて確認するという視点も必要だと思います。

サイト全体で一貫した対応を行う重要性

この調査では、サイト全体での対応状況を評価しています。対応が出来ているページと出来ていないページが混在する状態は、利用者の混乱や困難の原因になるからです。特にアクセシビリティの基本的な配慮については、サイト全体で一貫して行うことが重要になります。
アライド・ブレインズでは、このような観点から今後も引き続き調査を企画していきたいと考えています。皆様がサイト改善の目標を設定し、取組みを計画する際に、何かしらの参考になれば幸いです。

次回(2月28日予定)は、HTMLの構造化対応の状況をテーマにコラムを掲載します。調査の結果は、対応の進んでいる自治体とまだ着手出来ていない自治体に大きく分かれました。

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている全ページについて、問題の有無を確認できます。
  • 代替テキストに関する問題の有無を、ディレクトリ別に集計することが出来ます。
  • オプションサービスの「基本解析データ」を使い、代替テキストに問題のあるページを具体的に把握し、修正計画の検討や、修正指示に活用することが出来ます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

No.2 リンク切れの実態

リンク切れはアクセシビリティの問題!?

「リンクをクリックしたのに、Not Foundと表示されてしまう」。「ページ内に表示されるはずの画像が表示されない」。このようないわゆるリンク切れは、問題が起きていることが誰にとっても一目瞭然であるため、ウェブサイトにかかわる様々な問題の中でも良く知られています。

重要な情報へのリンクが切れていたり、サイトのあちこちでリンク切れが発生していたりすると、利用上の支障が出ると同時に、利用者の心証を害します。そのサイトを利用する際の信頼感や安心感は、リンク切れが原因で、大きく損なわれる可能性があるのです。

リンク切れは、アクセシビリティの配慮以前に、サイト管理者が最低限対応しておくべき事柄と捉えられていることが多いようです。ウェブアクセシビリティの配慮を求めた日本工業規格(JIS X 8341-3)には、このリンク切れに関する項目はありません。しかし、利用者が情報を取得出来るか否かに直結する、極めて重要な問題であることは間違いないと思います。

なんと10ページに1ページの割合でリンク切れ発生

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」では、ウェブサイト解析プログラムCRONOS2を用い、自治体サイトのリンク切れの発生状況を調査しました。

リンク切れは、上記のとおり多くのサイト管理者にとって一般的な問題で、チェックツールなども充実しています。そのため、調査実施前の段階では、自治体サイトでもリンク切れへの対処は、ある程度出来ているのではないかと想定していました。しかし、調査結果は驚くべきものでした。結果の一部をご紹介しましょう。

ある市のサイトは、総ページ数が10万ページ近くありますが、リンク切れの発生しているページ数が、総ページ数の10%を超えていました。単純計算では、10ページに1ページ以上の割合でリンク切れが発生していることになります。これほどの発生率になると、少しサイトの中を移動しようとしただけで、すぐにリンク切れに遭遇するという状態です。心証が悪いだけでなく、欲しい情報を得られないという実害が生じている可能性が高いと思います。

この市では、こまめにサイト全体をツールでチェックしたり、システムでサイト全体を一括管理したりはしておらず、長年の問題が積み重なって、このような状態になってしまいました。現在、対応を検討されているようですが、1万ページ近くにおよぶリンク切れの修正は、一大プロジェクトとなっています。

総ページ数が多ければ必ずリンク切れの発生割合が多いというわけでも無いようです。たとえば、10万ページを超えるある県のサイトでは、リンク切れの発生しているページは100ページ程度(全体の約0.1%)でした。この県では、こまめにツールでチェックを実施し、修正を行っているそうです。100ページ程度であれば、修正にもそれほど大きな負担はかかりません。

リンク切れは、日々のページ追加・更新時に常に発生の可能性があります。見た目の表示だけでは完全な確認が難しいため、なかなか根絶は出来ません。しかし、サイト管理者が十分に意識して運用の体制や手順を構築しているかどうかによって、上記のような発生状況の大きな違いが生じてしまいます。

関連した隠れたリスク

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」では、「リンク先として指定されているURLにファイルが存在しない」場合をカウントしました。これとは別に、「どのページからもリンクはされていないが、自治体のWebサーバの中にファイルが存在する」場合があります。

古くなったり、公開すべきでないHTMLについて、とりあえずリンクを外しHTMLファイルはサーバの中に放置するという対応をすると、このような状態が生まれます。多くの場合サイト管理者は、このようなファイルがどのくらいの数、どの箇所に放置されているか、そしてその中にはどんな内容が書かれているかを把握できていません。

このようなファイルは、外部からURLを直接指定すると内容を閲覧できてしまうという大きなリスクを抱えています。長年にわたり誰にも管理されていない大量の情報が、外部から閲覧可能な状態に置かれているという状態です。皆さんの携わるサイトでは、そのようなことが起きていないでしょうか?

アライド・ブレインズでは、このようなリスクについても状況把握を簡便に行えるよう、CRONOS2の機能追加を引き続き検討していきたいと考えています。

次回(2月21日予定)は、画像に対する代替テキストの対応状況をテーマにコラムを掲載します。アクセシビリティの基本中の基本とされる対応を、自治体サイトはどの程度行えているでしょうか?

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている全ページについて、問題の有無を確認できます。
  • サイト全体でのリンク切れページ総数、リンク切れ発生箇所総数を把握することが出来ます。
  • リンク切れの発生状況を、ディレクトリ別に集計することが出来ます。
  • オプションサービスの「基本解析データ」を使い、リンク切れが発生しているページを具体的に把握し、修正計画の検討や、修正指示に活用することが出来ます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

No.1 サイトの規模とアクセシビリティ対応の関係

全国自治体サイトの総ページ数は

他の分野のウェブサイトと比べて、自治体サイトはページ数が多いのがひとつの特徴です。自治体の規模にもよりますが、数千ページ、数万ページのサイトが珍しくありません。

アライド・ブレインズが2006年8月から10月にかけて実施した、ウェブサイト解析プログラムCRONOS2による「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」の結果を見てみましょう。

調査対象とした自治体180サイト(人口20万人以上自治体及び東京23区)の平均は25,030ページでした。自治体によって数には幅があり、最も少ない自治体では1,197ページ、一方、最も多い自治体では198,561ページという非常に大規模なサイトになっています。

皆さんの携わるサイトの総ページ数は多い方でしょうか?少ない方でしょうか?

サイト管理者にとって悩ましい問題

サイトの総ページ数は、提供する情報が増えるにしたがって増加するものです。自治体サイトのページ数が多くなったのも、利用者にとって便利な情報を提供してきた積重ねの結果であり、大変意義のあることだと思います。

その一方でサイト管理する担当者の方にとっては、ページ数の増加は悩ましい問題にもなっています。掲載内容を隅々まで把握したり、ルールに基づいたページ作りを徹底したりすることが難しくなっています。

サイトの総ページ数があまりに多い状況は、サイトを閲覧する利用者にも、影響が出ています。閲覧した情報が何時発表されたかも分からないような古い内容だったり、サイト内でリンク切れがあったり、アクセシビリティに配慮の無いページに遭遇したりという問題の一因になっています。

アクセシビリティ対応との関係

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」の結果、サイト全体のアクセシビリティ対応が最も良い状態であるAレベルに該当したのは、4自治体のサイトでしたが、何れも総ページ数は2万ページ以下でした。これは単なる偶然ではないようです。

この2万ページを一つの指標値として、各レベルで2万ページを超えるサイトが占める割合を確認してみると、Aレベルは0%、Bレベルで29%、Cレベルで38%、Dレベルで39%、Eレベルで43%となりました。アクセシビリティの評価結果とサイトの規模の間に相関関係が見られます。我々がいろいろなサイトをご支援する中での経験知から、ある程度予想はしていましたが、これだけはっきりとデータに現れたことは大きな驚きでした。

ところで、調査結果の大多数を占めるDレベル、Eレベルのサイトには、調査前にリニューアルやCMS導入を実施しているサイトが多数含まれています。アクセシビリティの評価結果と、リニューアルやCMS導入実施の有無は、必ずしも一致しません。

適切な総ページ数を目指すには

ページ数は減らせばよいというものではなく、その自治体がサイトで提供すべき情報やサービスに応じた適切なボリュームを模索する必要があります。いろいろな自治体の担当者の方とお話をする限り、現在の総ページ数が適切だと感じていらっしゃる方はほとんどいらっしゃいません。既に、ページ数の削減に取組みを始めている自治体もあります。

適切な総ページ数を目指すために、まず、現在の状況をきちんと把握することをお勧めしています。「古くから更新されていないファイルがどの程度あるのか」「担当の部署によって、ページ数に大きな開きがないか」「掲載されている情報で既に不要なものがどの程度ありそうか」 このような事を把握することが、総ページ数の目標値を設定したり、削減のルールや手順を考える第一歩となります。

次回は、自治体サイト内で生じているリンク切れをテーマにコラムを掲載します。調査の結果、我々の想像をはるかに超える実態が明らかになりました。

ウェブサイト解析プログラムCRONOS2
「2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査」に使用したCRONOS2は、サイト内の全ページを解析し、アクセシビリティをはじめとするサイト内の様々な問題を統計的に明らかにします。

  • 利用者に公開されている総ページ数を把握することが出来ます。
  • 古いファイルの数や掲載箇所を把握し、ページ数削減の基礎資料とすることが出来ます。
  • アクセシビリティをはじめとする様々な問題について、問題の多いページを特定することが出来ます。

CRONOS2ウェブサイト解析サービスのご紹介

2006年自治体サイト全ページアクセシビリティ実態調査
アライド・ブレインズでは、平成18年8月から10月にかけ全国約180自治体のホームページを対象に実施。調査概要と結果の詳細は、ウェブアクセシビリティ実用サイト「A.A.O.」で紹介している。

「2006全国自治体サイトアクセシビリティ実態調査」

A.A.O.公共機関ホームページ支援メニューのご案内

A.A.O.では、官公庁、自治体、独立行政法人、各種公共団体、民間企業などのウェブサイトのアクセシビリティ改善、ユーザビリティ改善などを強力にバックアップするサービスを行っております。

電話番号03-3261-7431
メールアドレス:office@aao.ne.jp

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