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月刊『広報』連載 「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」

No.8 公共機関ホームページに求められる対応

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」の改正が近づいてきました。

JISC(日本工業標準調査)が行っていた意見受付公告が7月19日までに終了し、今後滞りなく進行した場合は8月20日に改正の公示が行なわれる見込みです。

第8回は、これまでの連載のポイントをおさらいしながら、JIS X 8341-3改正と公共機関ホームページに求められる対応を解説します。

なお、公示の日程については本稿執筆時点の見込みです。最新の情報及び本連載の過去の記事は、A.A.O.サイト(https://www.aao.ne.jp/)でご確認いただけます。

団体によりアクセシビリティ品質に大きな差

2004年に現行のJIS X 8341-3が制定されたことにより、「JIS X 8341-3に基づいて作成しています」「JIS X 8341-3に準拠しています」などと表明するホームページが多数生まれました。しかし、個々のホームページを詳細に確認すると、アクセシビリティの品質に大きな差があります。

現行のJIS X 8341-3では、各団体における対応項目選定の具体的な指針はなく、対応レベルも設定されていません。そのため、個々のホームページがJIS X 8341-3の要件をきちんと満たしているか否かについて、厳しく問われるケースがあまり無かったのではないかと思います。

自団体の目標設定と確実な対応が求められることに

改正により、各団体には、改正後のJIS X 8341-3が示す枠組みに基づいて自団体のウェブアクセシビリティ対応の目標(達成等級及び達成基準)を具体的に設定したうえで、文書化しホームページで公開することが求められます。

具体的な目標の設定と公開は、外部のメディア、研究機関、利用者団体、個人の利用者などが、各団体のホームページが目標を達成しているかどうか(JIS X 8341-3の要件を満たしているかどうか)を検証できるようになることを意味します。

これまでは、例えば「JIS X 8341-3に基づいて作成しています」と表明するだけで配慮をしていると評価をされるような場合があったかもしれませんが、改正後は状況が大きく変わると理解してください。各団体は、自団体が設定した目標に基づき、ウェブアクセシビリティを確実に実現することが求められます。

既にこれを先取りするような取組みも行われています。総務省の行政評価局は、全府省の本省及び外局(e-Gov を含む34 機関)のウェブアクセシビリティを調査したうえで、6月22日に全府省に対し「ホームページのバリアフリー化の推進に関する調査結果に基づく勧告」を行いました。

まずは自団体の目標設定から

各団体において真っ先に実施すべきは、自団体の目標(達成等級及び達成基準)を設定することです。公共機関ホームページに求められるアクセシビリティ品質を踏まえ、自団体が対応可能な目標を設定しなければなりません。現ホームページのウェブアクセシビリティの状況と運用の事情を十分に勘案することが重要です。(第5回(5月号)の解説を参照)

リニューアルを予定している団体は早めの対応を

公示後は、国内のウェブアクセシビリティ対応のスタンダードが改正後のJIS X 8341-3となります。特に今年度あるいは来年度にリニューアルやCMS導入(入替)を予定している団体は、改正後のJIS X 8341-3に基づいたリニューアルが実施されるよう必要な準備を行なってください。(第7回(7月号)の解説を参照)

特に、「自団体の設定した目標に基づいて委託業者に対し仕様を具体的に示すこと」、「目標に基づいた検証をリニューアル公開前に十分に行なうこと」をお勧めします。

設定した目標に基づく自団体内のルール整備と周知を

設定した目標を実現し品質を維持するためには、ホームページの作成に関わるルールを自団体内で周知徹底することが重要となります。改正後のJIS X 8341-3に基づいたガイドラインを整備するとともに、研修の実施など職員の意識向上とルールの周知を行うための取組みを検討してください。(第6回(6月号)の解説を参照)

関連情報の整備も進行中

情報通信アクセス協議会のウェブアクセシビリティ作業部会(本稿執筆時点の名称)は、8月20日の公示に向けて、改正後のJIS X 8341-3について理解を深めたり実践を支援する関連情報の整備を進めています。

また、総務省は、公共機関ホームページのウェブアクセシビリティ対応を推進する「みんなの公共サイト運用モデル(2005年12月発表)」について、今年度中に全面改定し全国自治体へ配布する予定です。

改正後のJIS X 8341-3への対応に関わるこれらの情報について、A.A.O.サイト(https://www.aao.ne.jp/)やセミナーを通じて情報をご提供していきたいと思います。ご注目ください。

No.7 改正を踏まえたリニューアル

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」の改正が予定されています。

第7回は、今年度あるいは来年度にホームページのリニューアル等を予定している団体が、JIS X 8341-3改正を踏まえて注意すべき点を解説します。

JIS X 8341-3改正に対する関心の高まり

昨年度からJIS X 8341-3改正に関する解説を行なうセミナーを開催しておりますが、今年度に入って、定員を超える申込みをいただくことが増えています。

セミナー参加者アンケートの回答を拝見すると、特に今年度あるいは来年度にホームページのリニューアルまたはCMS導入(入替)を予定されている団体の方が、具体的にどのような準備を行ったらよいかについて、強い関心を持って検討を始めていることが分かります。

今年度JIS X 8341-3が改正されると、それ以降、改正後のJIS X 8341-3がウェブアクセシビリティ対応に関するルールの国内標準となります。多くの団体においてホームページのリニューアルサイクルが4~6年程度であることを考えると、今年度以降に実施するリニューアルにおいては、改正後のJIS X 8341-3に基づいた構築を実現していただきたいところです。

改正がもたらす変化とは

JIS X 8341-3改正に関して、リニューアル等を予定している団体に特に注目いただきたい変化は、「求められる対応が具体化されること」と、それに伴い改正前に比べて「検証が容易になること」です。

具体的な例を挙げてみましょう。注目いただきたい点は多々ありますが、今回は「色のコントラスト」に関する配慮を取り上げます。

現在のJIS X 8341-3では、「5.5.c) 画像などの背景色と前景色とには、十分なコントラストを取り、識別しやすい配色にすることが望ましい」という項目があります。「十分なコントラスト」が求められていますが、具体的な基準はJIS X 8341-3の本文の中では示されていませんでした。どの程度を「十分」とするかについて、参考となる情報は存在したものの、具体的な判断は各団体に委ねられていたと言えます。

改正後のJIS X 8341-3では、達成等級AA及びAAAにおいて、実現すべきコントラストを具体的な数値で示した達成基準が設けられる見込みです。これにより、色のコントラストが達成基準を満たしているかどうかを、一定の基準に基づいて検証できるようになります。

自団体の目標に基づいて仕様を提示する

リニューアル等を予定している団体においては、改正後のJIS X 8341-3に基づき、自団体の目標とする達成等級・達成基準を選定し(本連載の第5回を参照のこと)、委託業務の仕様として提示することが重要です。

これまではJIS X 8341-3の要求事項や検証基準が明確でなかったこともあり、公共機関のホームページリニューアル等の仕様書では、「JIS X 8341-3に準拠すること」といった文言だけが記載されることが珍しくありませんでした。

改正後のJIS X 8341-3では、A、AA、AAAという3つの達成等級とそれらを構成する61の達成基準に基づいて自団体の目標を選定し、仕様書に具体的な成果目標として記載することが可能となります。

本稿の執筆時点では、改正後のJIS X 8341-3は正式には発表されていませんので、リニューアル等を間近に控えているあるいは実施中という場合は、2009年 1月に財団法人日本規格協会「情報アクセシビリティ標準化調査研究委員会」が発表した「JIS X 8341-3 改正原案」を参考にされると良いと思います。

詳細な実現方法を委託業者と合意する

個々の達成基準には、複数の実現方法が存在するものが多々あります。具体的にどのような方法により達成基準を満たすのか、どのようなツールで適否を判定するかといった詳細について、事前に委託業者と合意した上で業務を開始することが重要です。「JIS X 8341-3 改正原案」では、「ウェブコンテンツに使用する技術、及び各達成基準に適合するための実装方法を明確にする。」と記載されています。

具体的な実現方法及び適否判定の方法や基準は、文書化することをお勧めします。このことにより、委託業者が業務において実施すべき事柄が明らかになり、検収の基準が明確になります。アライド・ブレインズでは、現在のJIS X 8341-3制定以来、具体的な実現方法や基準を「ウェブアクセシビリティ対応基準書」として取りまとめ、委託業者に仕様として提示することを推奨してきましたが、JIS X 8341-3の改正により、文書化し委託業者と合意の上で業務を実施することの重要性はより高まると考えられます。

改正後のJIS X 8341-3に基づいて検証する

リニューアル等の業務においては、目標としたアクセシビリティを確保できているかどうかを、納品前(公開前)に十分に確認することが重要です。

委託業者に対して、事前に合意した内容に基づいて十分な検証を実施することを求めるとともに、自団体の検収においても確認を行なってください。仮に、技術的に難しい点は委託業者の責任に委ねるとしても、ツールを用いて確認できる点や、詳しい知識がなくても判断できるような点については、ぜひ担当者ご自身でも確認されることをお勧めします。

No.6 ガイドラインの作成

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」の改正が予定されています。

第6回は、改正後のJIS X 8341-3に対応するために、各団体が整備すべきガイドラインについて解説します。

アクセシビリティはホームページガイドラインに不可欠な要素

多くの公共機関では、ホームページに関する団体内の様々なルールを、ガイドラインと呼ばれる文書としてまとめています。

ひと口にガイドラインと言っても扱う内容は団体による差が大きいようです。例えば、「ページ作成等の業務の心構え」、「ページを作成し公開するまでの手順」、「ページの作り方や注意点」などを幅広く扱ったガイドラインを持つ団体もあれば、「掲載する記事を書く際の文章の書き方や言葉使い」に特化して注意すべき事をまとめたガイドラインを持つ団体もあります。

2004年のJIS X 8341-3制定以降は、ガイドラインにアクセシビリティ配慮の方針や具体的な対応方法を盛り込む団体が増えました。今では、アクセシビリティに関する記述が大部分を占めるというガイドラインが珍しくありません。アクセシビリティの配慮が、職員の方にとってなじみが薄く、配慮の重要性や具体的な対応方法を周知することが不可欠だからだと考えられます。

公共機関のガイドラインによくある問題とは

いろいろとご相談を受ける中で多くの団体のガイドラインを拝見してきましたが、うまく活用できているケースに出会うことは非常に少ないと言えます。府省、自治体、独立行政法人などのガイドラインによくある問題を列挙してみましょう。皆さんの団体で、思い当たる点が無いでしょうか。

(1)アクセシビリティに関する記述が無い/不足している

ガイドラインを持っているけれどもアクセシビリティに関する記述が無い、あるいは記述が不足している団体があります。このような例は、古くに作成されたガイドラインをそのまま使用している場合に多いと感じます。JIS X 8341-3の制定以前は、多くの団体においてアクセシビリティ配慮の必要性が認識されていませんでした。この当時に作られたガイドラインは総じてアクセシビリティに関する記述が不足しています。

(2)他団体のガイドラインを採用した/真似た

近隣の団体やホームページの評判がよい団体のガイドラインを入手して、ほぼそのまま自団体のルールとして採用したというケースがあります。この場合、「ガイドラインを持っている」という意味で体裁は整っているのですが、ページ作成や管理業務にルールが活かされていることはほとんどありません。ホームページの担当者の方が「自団体の方針を検討する」という手順を端折ってしまうと、コンテンツや運用の事情とガイドラインに記載されるルールとが合致しないのです。また、担当者の方にガイドラインに対する思い入れが無いために、熱意を持って団体内でルールを周知するということが行われないという傾向も見受けられます。

(3)職員が読んでいない

ガイドラインをほとんどの職員が読んだことがなく業務に活用されていないというケースは珍しくありません。団体によってそれぞれいろいろな背景があるのですが、ガイドラインの内容が難しすぎることは要因の一つです。ガイドラインの作成時に、対象読者として「ホームページに詳しくない職員の方」を想定していないと、このようなことが起きてしまいます。

(4)ガイドランの内容を更新していない

記述されている内容が古く、現在の利用者の閲覧環境やページ作成技術と合致していないガイドラインもあります。例えば、信じられないような話ですが、ページ作成時に最も重視する閲覧ソフトとしてNetscape Navigator 4.7を指定している団体がありました。

コンテンツ及び運用の方針を十分に検討し反映する

前号までの解説のとおり、改正後のJIS X 8341-3では、各団体においてアクセシビリティ対応の目標(達成等級・達成基準)を設定します。設定した目標を実現するために必要となるルールをガイドラインにまとめましょう。その際に、自団体ホームページのコンテンツ及び運用の方針を十分に検討するようにしてください。

職員を対象に分かりやすく解説する

ガイドラインを作成する際には、対象者の検討を十分に行うことも重要です。業者に読んでもらうものなのか、ホームページの運営を担当する職員が読むものなのか、ページを作成する個々の部署の職員の方が読むものなのかといった対象者の設定の仕方によって、ガイドラインに求められる内容や表現が異なるからです。

ホームページに詳しくない職員の方に必要な配慮を周知するためには、ページ作成の技術的なルールを示すこと以上に、その背景や重要性を理解するための分かりやすく丁寧に解説することが重要になります。

定期的に内容を確認し見直しを行う

JIS X 8341-3の改正のように、ホームページのルールに関わる大きな変化があった場合は、ガイドラインを必ず見直す必要があります。

また、利用者の閲覧環境やページ作成技術は変化し続けているため、その変化を踏まえた適切なルールとなるように定期的に見直すことが重要です。セミナーなどでは、1年に1度見直しを行うことをお勧めしています。

次回は、JIS X 8341-3の改正を踏まえたリニューアルを行うために、必要な対応について解説する予定です。

No.5 達成等級・達成基準の選定

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」の改正が予定されています。

第5回は、2009年1月に発表された改正原案の内容に基づき、改正によって新たに設けられる達成等級・達成基準選定の考え方を解説します。

3段階のレベルと61の対応項目

前号で解説したとおり、JIS X 8341-3の改正により、ウェブアクセシビリティ配慮に3段階のレベル(「達成等級」と呼ばれる)が設けられます。最も優先すべき配慮がAとなっており、その上位のレベルとしてAA、さらに上位のレベルとしてAAAが用意されます。

この3段階の達成等級には、それぞれの等級において対応すべき項目(改正後は「達成基準」と呼ばれる)が用意されます。達成基準は合計で61項目あります。

例えば、達成等級Aの1つ目の達成基準は改正原案では「7.1.1.1 非テキストコンテンツに関する達成基準」となっています。この達成基準は、「音声読み上げソフトを用いてHPを読んでいる利用者への配慮として、画像で表現されている情報の内容を代替テキストとして提供する」などの対応を求めているもので、どのようなHPであっても優先すべき配慮であるために、達成等級がAと設定されています。

公共機関に求められる目標レベルとは!?

自治体などの公共機関HPが目標とする達成等級をどのように考えるべきでしょうか。多くの担当者の方が関心をもっておられるようです。

ウェブアクセシビリティに力を入れて取組んでおられる団体の中には、既に改正を見据えた検討に着手している団体があります。ご依頼をいただいて改正原案に基づいた検討をご支援している事例では、「達成等級Aの達成基準は原則として全て対応することを前提に、AA及びAAAの達成基準から対応可能なものをできる限り選定すること」を推奨しています。

AA及びAAAの達成基準の中には、HPの目的やコンテンツの諸条件によっては対応が難しいものが含まれています。しかし、多様な利用者に対して正確な情報を不足なく提供することが求められる公共機関HPでは、AA及びAAAの達成基準の中にも対応すべきと考えられる項目がかなりの数あるのです。

達成基準の採用、非採用、どちらも責任が伴う

団体ごとに目標を設定するというお話をすると、「できるだけ目標を控えめに設定しておこう」とお考えになる方もいらっしゃいます。そのような方には、「個々の達成基準を採用すること、採用しないこと、どちらにも責任が伴う」とご説明しています。

ある達成基準を目標として採用する場合は、当然のことながら自団体HPにおいてその達成基準を満たすための対応を行なう責任が生まれます。

逆に、ある達成基準を目標として採用しないという判断をした場合、その達成基準が配慮の対象としている利用者が公共機関の提供する情報やサービスを利用できないという可能性が生まれます。公共機関として、そのような状態が生じることをどのように捉え説明するのか、対処策をどのように考えていくのか、これらが採用しないことにより生じる責任であると言えるでしょう。

具体的な目標設定のためには現状の把握が不可欠

各団体の目標設定においては、個々の達成基準について目標として採用すべきなのか、何らかの理由により見送るべきなのか、詳しく検討する必要があります。

検討の拠り所となるのは、自団体HPのアクセシビリティの状況とページ作成や公開などの運用の事情です。
まず自団体HPにおいて対応が出来ていること、出来ていないことを、具体的かつ詳細に把握することが重要です。出来ていないことがある場合は、その原因を把握することも必要です。これらを把握することにより、現在のHPとその運用を前提に、現実的な目標設定を行なうことができるようになります。

改正後のJIS X 8341-3は現行の規格に比べ、対応出来ているか出来ていないかを判断する基準が明確になります。各団体のHPのアクセシビリティが目標を達成しているかどうか(JIS X 8341-3の要件を満たしているかどうか)を外部から評価し易くなるわけです。

自団体HPの現状を踏まえ、個々の達成基準を採用することにより生じる責任、採用しないことにより生じる責任を十分に検討し、目標の設定を行なってください。

No.4 公共機関ホームページに求められる対応とは?

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」(以降、JIS X 8341-3と記載)の改正が予定されています。

4回目以降は、2009年1月に発表された改正原案の内容に基づき、改正によって公共機関ホームページに求められる対応を検討しましょう。

なお、今月から新しくホームページ(以下、HPと記載)担当になった皆さんは、「ウェブアクセシビリティって何?」「JIS X 8341-3って何?」という方が少なからずいらっしゃることと思いますので、ぜひ過去3回の連載記事を併せて読んでみてください。

担当者の方に知っていただきたい4つのポイント

改正によって公共機関HPに求められる対応について、特に重要となるのは以下の4点と考えられます。

  1. 達成等級・達成基準の選定
  2. 目標に基づく作成ルールの整備(ガイドライン等)
  3. 達成基準に基づく検証の実施
  4. 継続的なアクセシビリティ維持・向上の取組みの実施

今号ではそれぞれの概要を紹介し、次号以降で詳細を解説したいと思います。

自団体が目標とする達成等級・達成基準を選定する

前号で解説したとおり改正伴う大きな変化は、各団体に対して、ウェブアクセシビリティ配慮の目標を具体的に設定すること、設定した目標を文書化しHPで公開することが求められるようになることです。

改正により、ウェブアクセシビリティ配慮にはA、AA、AAAのレベル(「達成等級」と呼ばれる)が設けられます。そして、この3つの達成等級には、それぞれの等級において対応すべき項目(改正後は「達成基準」と呼ばれる)が用意されます。JIS X 8341-3改正への対応は、自団体が目標とする達成等級を選定した上で、61の達成基準の中から自団体が対応するものを選定することから始まります。

まず今号では、「自団体としての目標を設定する必要があること」「その目標は曖昧なものではなく、改正されるJIS規格の枠組みに基づいて明確に設定する(達成等級及び達成基準を選定する)必要があること」「その目標を自団体のHPで公開することが求められること」を確認してください。

HPのガイドラインは整備されていますか?

多くの公共機関では、「ホームページ作成ガイドライン」あるいは「ウェブアクセシビリティガイドライン」といった文書に自団体のルールを定め、職員に配布しています。JIS X 8341-3改正に伴い、選定した達成等級・達成基準に基づいて、HP作成に関する自団体のルールを整備し、職員に周知する必要があります。

ガイドライン等を既に持っている団体は、その文書が何時作成されたものかを確認してみましょう。2004年6月よりも前に作られた文書の場合は、そもそも現行のJIS X 8341-3の要件に対応できておらず内容が大幅に不足している可能性が高いため、新たに作り直す必要があると考えられます。

それ以降に作られた文書の場合は、ルールとして記載されている項目の過不足を、選定した達成等級・達成基準に基づいて確認するとともに、個々のルールの内容について、改正後のJIS X 8341-3の要件を満たしているかどうかを確認することが必要となります。

リニューアルを予定している団体は改正を見据えた検証を計画中

自団体の目標を設定した後は、自らの責任において、目標を達成できているかどうかを検証し、問題がある場合は改善を行なうことが必要となります。

少なくとも、自団体の目標に基づいて問題の有無を確認し、問題がある場合にはその程度(利用者にとっての問題の深刻さ、問題発生の箇所、問題発生の量など)を把握することは不可欠と考えられます。

この半年ほど増えているのは、今年度あるいは来年度にリニューアルを予定している団体からのご相談で、「リニューアルするHPについて、JIS X 8341-3の改正を見据えたルールに基づいて成果物を検証したい」という内容です。

いかにして品質を確保・維持・向上させるか

総務省「みんなの公共サイト運用モデル」が示しているとおり、ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上には、リニューアルプロジェクトを実施する際だけではなく、日々の継続的な取組みの積重ねが不可欠です。

毎年少しずつテーマを変えながら職員研修を実施したり、定期的にHPの検証を実施したりという取組みを行う団体が増えてきました。取組みの規模や内容は様々ですが、「継続的に取り組み行なう中で品質を維持・向上していこう」と試行錯誤をされている団体のHPには、その成果が確実に表れてきていると感じます。

具体的な目標に基づく対応が求められるJIS X 8341-3改正により、継続的な取組みの必要性はますます高まると考えられます。

No.3 ウェブアクセシビリティJIS規格改正のポイント(2)

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」(以降、JIS X 8341-3と記載)の改正が予定されています。

3回目は、2009年1月に発表された改正原案の内容に基づき、改正によって現行のJIS X 8341-3から大きく変わる点を確認しましょう。

変わること【1】現行のJIS X 8341-3とは全く異なる構成に

改正により、JIS X 8341-3の構成が現行とは大きく変わります。

今回の改正は、ウェブアクセシビリティの配慮に関する国際標準として2008年12月11日にThe World Wide Web Consortium (W3C)より発表されたWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0と、日本の国内規格であるJIS X 8341-3の整合を取ることに力が注がれました。

WCAG2.0は本編とその関連文書によって構成されています。本編は、制作技術や利用者環境が変化しても有効に活用できるように抽象的な表現になっており、「Understanding WCAG 2.0」や「Techniques for WCAG 2.0」といった複数の関連文書によって内容が補完される構成となっています。

改正後のJIS X 8341-3に関しては、現時点で補完文書が発表されていません。内容を理解するためには、改正原案とともに、「Understanding WCAG 2.0」や「Techniques for WCAG 2.0」といったWCAG 2.0の関連文書をあわせて参照してください。

変わること【2】団体ごとに達成等級及び達成基準を設定する

現行のJIS X 8341-3からJIS X 8341-3改正原案の変更点を表した図。レベル:「なし」から「3つの達成等級(A、AA、AAA)」に。対応項目:「39」から「61の達成基準」に。現行のJIS X 8341-3では、ホームページ等(以降、HPと記載)の制作に関し対応すべき項目が39項目定められています。

これらは「・・・しなければならない(いわゆる必須項目)」と「・・・することが望ましい(いわゆる推奨項目)」とに分かれていますが、各団体における対応項目の選定について、具体的な指針はありません。対応する項目の数や種類などによるレベルも設定されていません。

そのため、公共機関HPにおけるこれまでのアクセシビリティ対応は、「JIS X 8341-3を尊重する」、「JIS X 8341-3に基づく」、「JIS X 8341-3を踏まえる」といった曖昧な目標に基づいて取り組まれている場合が多々ありました。

改正により、HPの制作に関し対応すべき項目(改正後は「達成基準」と呼ばれる)は61項目に細分化される予定です。この61項目にはそれぞれA、AA、AAAのレベル(「達成等級」と呼ばれる)が設定されます。

各団体は、目標とする達成等級を選定した上で、61項目の中から自団体が対応する達成基準を選定することが必要となります。

変わること【3】目標の公開が求められることにより外部評価がより活発に!?

皆さんにとっての大きな変化は、各団体が設定した目標を文書化しHPで公開することが求められるようになることです。

目標の公開は、外部の利用者団体、研究機関、メディア、個人の利用者などが、各団体のHPのアクセシビリティが目標を達成しているかどうか(JIS X 8341-3の要件を満たしているかどうか)を評価し易くなることを意味します。JIS X 8341-3の改正によって、外部からの評価が活発になると予想されるのです。

各団体は、自団体が設定した目標に基づき、ウェブアクセシビリティ配慮をこれまで以上に確実に達成することが求められます。また、目標の達成状況及び課題の把握、課題への対処策の検討を、定期的にきめ細かく行なうことが重要となります。

次回以降は、改正にそなえる具体的な対応について解説を行なう予定です。

No.2 ウェブアクセシビリティJIS規格改正のポイント(1)

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」(以降、JIS X 8341-3と記載)の改正が予定されています。

2回目からは、2009年1月に発表された改正原案の内容に基づき、JIS X 8341-3の改正のポイントを解説します。公共機関のホームページ担当者が理解すべき内容のうち、まずは現行のJIS X 8341-3から改正後も大きく変わらない重要事項について確認しましょう。

変わらないこと【1】全てのホームページ、ウェブシステムなどが対象

公共機関のウェブアクセシビリティ対応においては、主に公式ホームページを対象に取組みが行なわれていますが、現行のJIS X 8341-3では、規格の適用範囲を「利用者がウェブブラウザなどを用いてアクセスするあらゆる情報、サービス」と定義しており、対象は広範囲に及びます。

公式ホームページはもちろんのこと、個別の事業やテーマを扱ういわゆるサブサイト(別ドメインも含む)も対象となりますし、CD-ROMなどの記録媒体を用いて配布される情報や、庁内向けにイントラネットで提供される情報も対象です。

また、知らない方が多いようなのですが、施設予約、蔵書検索といったサービスを提供するウェブシステムも対象であることに注意してください。広報部門が所管することが多い公式ホームページに比べ、情報システム部門が所管することが多いウェブシステムでは、ウェブアクセシビリティの配慮が全くなされていない団体が多々あります。公共機関においてもウェブシステムによって利便性の高い様々なサービスが提供されるようになってきているため、今後はこのようなウェブシステムについても対応が強く求められるようになると予想されます。

HTMLをはじめとするウェブコンテンツ技術を用いて提供される情報やサービスは、ますます多様化してきています。前述のような幅広い対象にウェブアクセシビリティの配慮が求められることはJIS X 8341-3が改正されて変わりません。

変わらないこと【2】高齢者、障害者が問題なく利用できるように

JIS X 8341-3は、「主に高齢者、障害のある人及び一時的な障害のある人」が情報やサービスを問題なく利用できるようにするために制定されました。改正されてもこの考え方は変わりません。

60歳以上のインターネット利用率の変化を表したグラフ。60-64歳 平成16年末:49%、平成20年末:63.4%、65-69歳 平成16年末:27.3%、平成20年末:37.6%、70-79歳 平成16年末:15.4%、平成20年末:27.7%、80歳以上 平成16年末:6.9%、平成20年末:14.5%ウェブアクセシビリティというと、ホームページの内容を音声で読んでいる全盲の利用者への配慮を思い浮かべる方が多いと思います。音声で読んでいる利用者がホームページを利用する際に直面している問題は大変深刻であるため、これまでと変わらず十分な配慮を行なう必要があります。

このほかに、目が非常に見えづらい利用者、耳の聞こえづらい(聞こえない)利用者、手が動かしづらい(動かない)ためにマウスやキーボードを自在に操れない利用者など、配慮すべき利用者は多岐に渡ります。このような様々な利用者にどのような配慮が求められているか皆さんご存知でしょうか?実は知らなかったという方は、これを機にぜひ勉強してみてください。

また、加齢によって、見え方や聞こえ方が変化してきたり、新しい操作を覚えづらくなったりする利用者にも配慮が必要です。現行のJIS X 8341-3が公示された2004年に比べ、高齢者のインターネット利用率は大きく伸びています。

変わらないこと【3】ページ作成時の具体的な対応は大きく変わらない

ページを作成する際に求められる具体的な対応は改正後も多くの点で変わりません。
例えば、「画像には適切な代替テキストをつける」「分かりやすいページタイトルをつける」など、皆さんの団体でこれまで取り組まれてきた対応は、JIS X 8341-3が改正されて以降も引き続き重要な配慮として求められると理解してください。

改正に伴う変化のうち、動画コンテンツのアクセシビリティなど、公共機関ホームページ担当者が特に注目すべき内容については、次回以降に解説したいと思います。

変わらないこと【4】組織に求められる取組みも大きくは変わらない

ウェブアクセシビリティの対応に実績のある団体を中心に、「団体としてのルールを整備すること(ガイドライン)」、「職員研修を繰り返し実施すること」、「委託業者へ詳細な仕様を提示すること(対応基準書)」、「定期的に検証を実施すること」、「高齢者・障害者に実際に利用してもらい意見を収集すること(ユーザー評価)」など、様々な取組みを積み重ねることが重要であるとの理解が広まってきました。

JIS X 8341-3が改正されて以降もこのような取組みの重要性は変わりません。詳しくは次回以降に解説しますが、より一層重要となると考えた方が良いと思います。
公共機関に求められる取組みについては、総務省の「みんなの公共サイト運用モデル」でも紹介されています。ご存知のない方は、この機会にぜひご確認ください。

次回は、改正によって大きく変わる点を解説します。

No.1 ウェブアクセシビリティJIS規格とは

行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 にて、連載「ウェブアクセシビリティJIS規格の改正に備える~公共機関ホームページに求められる対応」を開始しました。

日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3 )」(以降、JIS X 8341-3と記載)の改正が予定されています。JIS X 8341-3は2004年6月20日に制定されて以降、多くの自治体においてホームページのアクセシビリティ対応を行なうための拠り所とされてきました。

改正によって、公共機関に求められる対応にどのような変化があるのでしょうか。この連載では、正式な改正に先立ち2009年 1月22日に発表された「改正原案」の内容を踏まえ、改正のポイントと公共機関ホームページに求められる対応を解説します。

1回目は、改正前の現行のJIS X 8341-3について、その目的と公共機関ホームページに与えた影響を確認しましょう。

誰もが利用できるホームページを実現するために必要となる配慮

ホームページで提供される情報やサービスを、高齢者や障害者も含めた誰もが利用できるようにすることをウェブアクセシビリティと言います。

情報を受発信する媒体としてホームページの役割が飛躍的に大きくなっていく中で、ホームページで提供される情報を閲覧できない人やサービスを利用できない人が生まれないようにしようという考え方です。

ウェブアクセシビリティ対応には多くの誤解や間違いも

ウェブアクセシビリティという考え方が国内に入ってきたのは今から10年ほど前になります。それ以降、少しずつ知られるようになり、国内ホームページの対応事例も増えてきたのですが、その一方で、その目的や求められる対応について誤った理解がされていたり、結果的に利用者にとって効果の乏しい対応に多額の費用が投じられてしまう事例が出てきました。

例えば、ホームページで障害者向けに音声読み上げ機能を提供することがウェブアクセシビリティ対応であると思っている公共機関のご担当者にお会いすることがありますが、これは誤った理解です。音声でホームページを利用している人は、基本的に既に自分のパソコンに音声読み上げソフトを持っており、自分の使いやすい設定にして世の中の様々なホームページを閲覧しています。個別のホームページでしか利用できないソフトをわざわざダウンロードはしませんし、する必要が無いのです。

また、一時期、自治体の公式ホームページについて、通常のホームページとは別に、同じ内容の「バリアフリー版」あるいは「ウェブアクセシビリティ対応版」と呼ばれるようなテキストだけで構成されたホームページをもう一つ作るという事例が増えたことがありました。これも何らかの誤解に基づく対応であったことが多かったと思います。公共機関のホームページは、ウェブアクセシビリティに対応した別バージョンを作ることなく、通常のホームページ自体を高齢者や障害者が問題なく利用できるように作る必要があります。

JIS X 8341-3は、HTMLの書き方や色の使い方などについてページを制作する際に行うべき具体的な配慮や、ホームページの運営において配慮すべき事柄に関する国内の標準ルールとして、2004年6月20日に制定されました。

工業標準化法に基づいて制定される国家規格

JIS規格とは、工業標準化法に基づいて制定される国家規格です。エアコン、冷凍庫、電球といった様々な製品の形状・寸法や耐久性などを定めた製品規格が数多くあるほか、動作や手順、手法などを定めた方法規格、計量単位や言語などを定めた基本規格があります。

「工業標準化法」第67条(日本工業規格の尊重)では、「国及び地方公共団体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき、その買い入れる鉱工業品に関する仕様を定めるときその他その事務を処理するに当たつて第2条各号に掲げる事項に関し一定の基準を定めるときは、日本工業規格を尊重してこれをしなければならない。」とされており、国・自治体等にはJIS X 8341-3を尊重しウェブアクセシビリティを実現することが求められることとなりました。

また、2005年12月に、公共機関がJIS X 8341-3に基づきホームページのウェブアクセシビリティ対応を推進するための「みんなの公共サイト運用モデル」が総務省より発表されました。

JIS X 8341-3の制定、「みんなの公共サイト運用モデル」の発表を経て、公共機関のホームページをリニューアルする際の委託仕様にウェブアクセシビリティへの対応が盛り込まれることが増えたほか、ページ制作を行うためのルールであるガイドラインの整備を行なったり、ページ制作に携わる職員を対象にした研修を実施したりする団体が増えました。

現行JIS X 8341-3の内容を正しく理解することから始めよう

「ウェブアクセシビリティJIS規格について」内容を知っている:70.9%、聞いたことはあるが内容は知らない:24.0%、まったく知らない:3.8%、その他:1.1%、無回答:0.2%アライド・ブレインズが2009年6月から8月にかけて、全国853の自治体を対象に実施した「第1回 公共機関ウェブサイトの運営に関するアンケート調査」によると、回答自治体の約7割が「JIS X 8341-3の内容を知っている」と答えています。

このコラムを読んでいらっしゃる皆さんはいかがでしょうか?

改正に備える上で、まずはウェブアクセシビリティの目的と求められる内容を正しく理解することが欠かせません。

現行のJIS X 8341-3の内容をご存じない場合は、ぜひ一度確認することをお勧めします。また、内容を知っているつもりでも正しく理解できているかどうか自身の無い方は、今一度内容を確認してください。

実は、先に挙げたようなウェブアクセシビリティに関する誤った理解に基づく対応事例は、JIS X 8341-3制定以後も散見されます。残念ながら国内の標準ルールであるJIS X 8341-3の内容を正しく理解した上で実践できていない団体が存在しているということです。

JIS X 8341-3は、日本規格協会のホームページで購入できますので、ぜひご確認ください。

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