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組織で取り組むアクセシビリティ

[ 2004年10月14日 ]

執筆担当
大久保 翌
(おおくぼ あきら)


JIS X8341-3の制定によって、民間企業や地方公共団体などのウェブサイトのアクセシビリティ対応が注目されています。組織のウェブサイトでは、コンテンツ制作面での対応はもちろんのこと、組織としての情報発信のあり方を根底から見直し、ウェブサイト提供のプロセス全体に配慮の手順を取り入れることが欠かせません。
ウェブサイト担当者の方は、本コラムを参考に「組織としての適切なアクセシビリティ対応」について考えてみてください。

JIS規格制定で対応は待ったなし!

2004年6月20日にJIS X8341-3(ウェブコンテンツJIS)が制定されました。これまでは、高齢者・障害者に配慮のあるウェブサイトは一部の先進事例にとどまっていましたが、JIS規格の制定を機に、民間企業、地方自治体など公共機関が配慮のあるウェブサイト作りに取り組む例が急速に増えてきました。以前から取り組みを始めていたところや、JIS規格制定を機にすばやく動いたところは、ウェブサイトのリニューアルや、内部ガイドラインの作成など着実に成果を上げ始めています。

しかし、全体から言えばほとんどの団体が「取り組みはまだこれから」というのが現状のようです( 参考情報:地方自治体ウェブアクセシビリティ調査 KeiYu HelpLab )。民間企業、地方自治体など公共機関がJIS規格に対応しようとした場合、必要となる取組みとはどのようなものでしょうか。

アクセシビリティは制作面の対応だけでクリア?

アクセシビリティ対応と聞いて、まず最初にどのようなイメージが湧くでしょうか? たとえば、「画像の内容を説明する代替テキストを用意する」という配慮は良く知られるようになって来ました。年配の方でも見やすいように「文字サイズをあまり小さく指定しすぎない」ことや、「文字サイズを利用者の人がブラウザなどで自由に変えられるように設計する」ことなども重要な対応です。

これらは全て、ウェブサイトのページをどのように制作したらいいかということが問題になっています。高齢者や障害者が問題なく利用できるようにするためには、なにしろ各ページのコンテンツが、配慮のある設計で制作されなければなりません。そのため、このような制作面での配慮は、アクセシビリティの取り組みとして欠かすことができないわけです。ここまではイメージを共有していただけると思います。

ところが、民間企業や地方公共団体のような組織のウェブサイトがアクセシビリティ対応するためには、もうひとつ重要な視点があります。制作面だけでなく、ウェブサイト提供のプロセス全体でアクセシビリティ配慮の手順を取り入れることです。

プロセス全体にアクセシビリティの手順や基準を盛り込む

ウェブサイトの提供には、ページ制作以外にも多くのプロセスがあります。たとえば新規に立ち上げるサイトであれば、まずサイトの企画段階があり、コンテンツの内容からサイト構成イメージなど基本的な方針が検討されるでしょう。その次に、ページ構成や各ページのデザインなど具体的な設計の段階があり、これらを経てようやく各ページの制作が行われます。さらに、制作されて利用者に公開されたコンテンツは、必要に応じて内容が更新されたり、ページが追加されたりします。JIS規格に対応し、アクセシブルなコンテンツを提供していくためには、これらの全てのプロセスで「配慮のための対応」が必要です。

企画や設計の段階では、配慮の大枠が決定づけられます。「どのようなレベルのアクセシビリティを目指すのか」、そのために「コンテンツの基本的な設計をどうするか」、「制作・更新の仕組み(例えば活用ツールや内部手順など)をどう設定するか」。これらは、その後の制作、保守・運用のプロセスのベースとなり、実現するアクセシビリティの質を左右します。制作の段階が重要なのは前段の通りです。適切な知識と技術を踏まえて、コンテンツが作られることがアクセシビリティ実現に欠かせません。しかし、せっかく配慮のあるページを制作しても、情報を更新する際にそれが崩れてしまっては何にもなりません。実際に、リニューアルでせっかく実現したアクセシビリティが、更新を繰り返すたびにガタガタになっていってしまう例が多々あります。

組織のウェブサイトの厄介な点は、これら一連のプロセスを、多くの人が分担していることにあります。多くの部署や担当者、外部発注先も含めて、一定のレベルを確保し維持していくために、プロセス全体を通じた「理解の共有」「手順の見直し」「基準作り」などが欠かせないのです。

JIS規格の第6章を読んでみよう

さて、以上のように、ウェブアクセシビリティをプロセス全体の取り組みとして捉えようという考え方は、JIS X8341-3のベースになっています。

JIS X8341-3の内容で最も注目され話題になっているのは第5章で、これが「コンテンツをどのように作ったら良いか」という制作面の指針にあたります。この規格にはさらに第6章があります。この章は、ウェブサイトの提供者が、企画・制作、保守・運用、検証において対応すべき事柄を挙げ、さらに利用者からの意見のフィードバックを受けて、アクセシビリティの向上に努めるように示しています。

私見ですが、この第6章は、第5章と比べても記述の内容が必ずしも明快でない印象もあります。しかし、「アクセシビリティの取り組みをプロセス全体の問題として捉えること」が規格として打ち出されたことは、日本のウェブアクセシビリティにとって非常に重要であることは間違いありません。

情報発信のあり方を根底から見直し「旧来のサイト」を脱却しよう

コンテンツの特性や制作の体制・手順は、組織によって様々に異なります。それらを踏まえた上でアクセシビリティにどう対応していくかを試行錯誤をすることが大切です。 最近よく誤解がありますが、アクセシビリティは、残念ながら何か汎用ツールを導入すれば一気に解決するという類の問題ではない のです。

プロセス全体を通じて対応するためには、組織としての情報発信のスタンス、提供の仕方を、正しいアクセシビリティの考え方を取り入れながら一つ一つ整理し、新しいものへと変えていくことになるでしょう。相応のパワーとノウハウが必要になります。しかし、「提供者主体で様々な利用者に目を向けてこなかった旧来のサイト」を脱却し、 「提供者の側で利用者を排除しないこれからのサイト」へと移行する ためには、この試行錯誤が不可欠です。

アクセシビリティは、取り組みを躊躇して何もしないよりは、 できることから少しずつでも改善していくということが重要です。配慮が足りなければ足りないほど、利用者に対するバリアが多いからです。上記を参考に最終的な目標は高く設定しながら、組織として無理のない現実的な取組みからぜひ始めてみて下さい。

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