第8回A.A.O.セミナー講師 特別コラム
No.3 ウェブとメールで視覚障害者の生活はきっともっと便利になる
寄稿
全国視覚障害者情報提供施設協会
外部専門委員 南谷和範さん
(みなたに かずのり)
h2>便利な公共図書館の検索・予約システム
ウェブとメールを活用したサービスで私が大変便利に感じているものとして、公共図書館の検索・予約システムを紹介したいと思います。
私が利用しているのは、文京区立図書館のオンラインシステムです。このシステムでは、
- 区内に10箇所程度ある図書館で所蔵している本やCDの一括検索
- 検索にヒットした本やCDの予約
- 自分の予約状況や貸し出し状況の確認
- 予約した本やCDが準備できた再のメール通知
が可能になっています。
以前から公共図書館が所蔵している多数の本やCDには大変な魅力を感じていました。しかしながら、いかんせん自分で自由に検索できなかったので、利用する機会はほとんどありませんでした。図書館まで出向いて職員の方にお願いすれば、代理で検索していただくこともできるにはできます。しかし、そこまでして利用するのは億劫でした。
特にせっかく出かけていって検索してもらっても、お目当てのCDが所蔵していなかったり、あるいは他の利用者に貸し出し中で借りられなかったりすると、無駄足を踏んだと感じてしまうのがいやで足が遠のいていました。
しかしオンラインで検索ができるとなると、自宅で好きな時間に好きなだけ検索ができます。利用姿勢が一気に積極的になりました。検索していてちょっと気になったCDが見つかると、とりあえず予約を入れて見るというような使い方をするようになりました。一般の人たちがCDジャケットを見てなんとなく借りるのと同じ感覚だと思います。
また3.の「自分の予約状況や貸し出し状況の確認」機能で自分の予約順位が確認できるので、だいたいいつごろに予約を入れているCDが借りられるかの目測もつきます。そこで予約していたCDが貸し出し準備完了になりそうな段階で、あわせてすぐ借りられる他のCDも予約を入れたり工夫をすると、非常に効率的な図書館利用ができます。CDは所蔵されている図書館から自分の最寄りの図書館に配送されてきます。配送が終了し貸し出し準備が整うと、その旨メールで連絡がくるので、最寄りの図書館に出かけてまとめて受け取ります。
CDの曲名も確認できる
さらにこのオンライン検索システムでは、CDに収録されている曲の一覧を見ることができるのも大変うれしいです。CDに同梱されているリーフレットを読めない視覚障害者にとってアルバムの中の曲のタイトルを知るのはなかなか厄介な作業になってしまいます。 (蛇足ですが、こういうリーフレットは背景が写真になっていたりデザイン性を重視しているので、OCRソフトで認識するのは至難の業です。)
せっかく自分の気に入った曲があっても、「アズテク・カメラというグループのベストアルバムに入っている14曲目の曲がなかなかいいよ」というようなちょっともどかしい説明になってしまうことがよくあります。しかし、このオンライン検索システムを併用すれば、自分のきいているCDの曲名も確認できるわけです。図書館で借りたCDはもちろん、自分で購入したCDの内容確認にも重宝しています。
当然CDの内容の確認自体は、レコード会社のホームページやオンラインのCDショップの検索でも可能です。それでも私が曲名確認のために図書館のオンライン検索を利用しているのは、
(1)広告や不要なリンクがなく、必要な情報(この場合CDの内容)にたどり着くまでの手間が少ない
(2)情報を表示する書式が一定に決まっているので、一度ページのレイアウトを覚えればどんなCDの検索結果でも非常に効率的に必要な情報に到達できる
という二つの理由によります。端的に言えば、アクセシビリティが高いわけです。