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わたしとWebとパソコンと
No.3 次第に見えなくなる生活の中で(前編)

[ 2008年4月24日 ]

岩渕正樹さんの写真 インタビュアー
岩渕正樹さん
(いわぶち まさき)

岡野五恵さんの写真 岡野五恵さん
(おかの いつえ)



白杖を使う勇気

岡野思い出している岡野さんの写真診断を受けて4年くらいしてから白杖をもつ訓練はしたのですが、自分が住んでいるこのあたりでは使う勇気が出なくて、知らないところでだけ使い始めました。自分のまちの駅を降りたら折りたたむとか。
駅前で車にあたってしまって警察で「視覚障害者」とは言えなくて、これは身を守るためにも必要だなと思ってから白杖を出すようにしました。徐々に視覚障害者の生活になっていった感じです。杖を使い出した頃には、まだ仕事もしていましたが、目の進行も早まってきて仕事に差し支えるようになったので退職しました。

岩渕:どのようなところで仕事に差し支えるようになったのでしょうか?

岡野:パソコンの色が見えなくなったんです。あの頃は黒い画面に緑の文字だったでしょ。

岩渕:そうでしたね。

岡野:コピー機も、紙のサイズにしても部数にしても、必ずディスプレーの表示を見るじゃないですか。誰かに聞かないと仕事にならない状態になって、自分で自分に見切りをつけました。
視野的には、その前からかなり狭かったから今とほとんど変わりはないんですが、視力がどんどん低下して。0.1コンマの差って、すごく大きいですよ。

ドーナツの中と外

岩渕:具体的には、どのように見えているのでしょうか?

岡野:「色変」でも色々な見え方があるみたいですけど、私の場合は視野がドーナツ状に抜けていて、中心視野は僅かに残っている程度です。

岩渕:ということは、ドーナツの外側は見えているのでしょうか?

岡野:仕事をしていた当時ですが、誰かがいるなとか何かがあるなというのは何となくわかりました。その当時ですけどね。

岩渕:今はどうでしょうか?

岡野:去年検査に行ってきたんですけど、中心視野が僅かに残っているだけで、視力も僅かに0.01と0.02になっていましたので、もう全盲の世界に片足というか、ほとんど入ってしまった感じです。光とかすかな陰影は感じるのですが。

岩渕:中心視野の中に入ればまだわかるということは、字は大きいほうが良いのでしょうか?

岡野:大きければ良いというものではなくて、文字の太さとかコントラストとかがハッキリしていれば読み取れるときもあります。でも、あまり大きいと視野の中に収まりきらないので、私の中では文字じゃなくて模様みたいになってしまいます。
あとは、とにかくまぶしさを強く感じているので、たとえば、暗いところで電気がつくとまぶしいとか太陽を見るとまぶしいとか、常にそんな感じなんですね。サングラスもほんとに真っ黒になってしまって、夏だとそれでも足りないくらいです。
キーボードでパソコンを操作している岡野さんの写真

岩渕:ということは、今日のように曇った天気のほうが良いのでしょうか?

岡野:曇った日でも私にはまぶしくて。雨の日とか曇りの日とか普通はまぶしくないじゃないですか。でも、雨でも曇っていても紫外線は太陽から出ているわけで、私の目にはまぶしいんです。本当に目が楽なのは日差しが落ちてからですが、今度は夜盲が邪魔をして (笑)。日が落ちた夕方が一番楽ですかね。

岩渕:他の人も、ドーナツの真ん中で見ているのでしょうか?

岡野:私はそうなんですが、私の周りには中心では見えないけど外側で見ている人もいます。

岩渕:ドーナツの輪の部分で見ているということでしょうか?

岡野:そうです。

見えなくなってくると

岩渕:見えなくなってきたことで、岡野さんが抱いてきた趣味や夢、生きがいや生活にどういった影響を及ぼしたのでしょうか?

岡野:影響ありましたね。いろんなことをするには視覚からの情報が大きくて、水泳にしても最初はプールの下の白線が見えてたんですが、見えなくなって隣のレーンに入ってしまうとかがありましたから。指導員の人は来るように言ってくれますが、プールって高齢者の人が多いじゃないですか。そうすると、見えない私がぶつかった場合、若い人だったらすばやく体勢を整えることができるけど、そうでない場合、私がぶつかったことで怪我をさせてはいけないので、それが気になってプールには戻れていないんです。

岩渕:白杖をもってプールに入るわけにもいきませんし。

岡野:地元のプールでも障害者優先のエリアはありますが、プールの中だけなので。プールにはリハビリで来ている人もいるので、ぶつかると危ないですよね。

岩渕:確かに。プールの中で転んでも水が受け止めてくれますが、プールサイドだと転んだらコンクリート直撃ですものね。プール以外ではどうでしょうか?

岡野:見えないので映画も見に行かなくなったし、美術展とかも行かなくなりました。ウオーキングはガイドヘルパーさんとか主人や近所の友達と行くこともありますが、一人では無理です。
障害者になってから唯一始めたのはオカリナです。弱視の友達三人で習ってます。
オカリナを吹いている岡野さんたちの写真

岩渕:ではインタビューは一休みして、ぜひとも練習の成果を (笑)

岡野:簡単な曲ですが…。

岩渕:『おぼろ月夜』ですね(パチパチパチ)

岡野:でも、楽譜を見ながら吹くことができないので、暗譜しないといけないのが大変なんですけどね。


インタビューは続きます。いよいよ後半はパソコンの話から。岡野さんが次第に見えなくなる生活の中で、パソコンやウェブをどう役立てているのか、使いにくいところをどう工夫しているのか、サイトへの要望、ケータイの便利さと、縦横無尽の岡野ワールドをお楽しみに。

次第に見えなくなる生活の中で(後編)へ

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