わたしとWebとパソコンと
No.3 次第に見えなくなる生活の中で(後編)
[ 2008年6月2日 ]
インタビュアー
岩渕正樹さん
(いわぶち まさき)
岡野五恵さん
(おかの いつえ)
勘でカーソル
岩渕:ウェブがこうなると、もっと利用しやすくなるのに…といったご要望もどうぞ。
岡野:使いにくさのところで言ったことと重なるかもしれませんが、リンクがどこに張ってあるかわかりやすく作ってあると操作できるんです。でも、リンクを探している時点で疲れてしまうとやめてしまうので、リンクの場所が狭い視野でもわかるようにしてもらえると良いですね。
リンクの場所がどこにあるかわからないときは勘でカーソルをもっていくわけですが (笑)、リンクの上にうまくカーソルが乗るときと乗らないときがあるんです。リンクの上にカーソルが乗ると手の形になって“ここがリンクだよ”と教えてくれますよね。それ以外の方法でもリンクの上にカーソルが乗っていることを確実に知らせてくれるようにしてもらえると助かります。
岩渕:サイトを提供している人がCSS(カスケーディング・スタイルシート)の中に「a:active」や「a:hover」などを仕込むと、それだけでもかなりわかりやすくなると思いますよ…と岡野さんが言われても困りますね (笑)。これを読んでいる人たちに期待しましょう。
岡野:私はチンプンカンプンだけど (笑)、わかる人に期待してます。
岩渕:とはいえ、期待に応えてくれるのを待ちながらでも“できる設定”はあるわけで、岡野さんパソコンのサポートでは、「インターネットオプション」のところも変えました。
岡野:リンクの色のところとか。
岩渕:岡野さんのように画面を白黒反転していると、白地の中では分かるリンクの文字色が、黒地の中では「未表示」が青で「表示済み」が紫ですから、とても見えにくいのです。なので、「インターネットオプション」の「色」のところで、「表示済み」のリンクの色を明るい茶色に、「未表示」のリンクの色を水色にしています。
また、「ポイント時に色を変更する」にチェックを入れ、「ポイント時の色」を黄色にしましたので、リンクの上にカーソルが乗ると“ここがリンクだよ”と教えてくれます。
岡野:勘でカーソルをもっていったとき (笑)
岩渕:先ほどの話の中にあった「字の大きさが変えられないページだともう利用できません」対策としては、「インターネットオプション」の「ユーザー補助」で「Webページで指定されたフォントサイズを使用しない」にチェックを入れました。
また、「Webページで指定された色を使用しない」で画面反転での見えにくさ対策を、「Webページで指定されたフォントスタイルを使用しない」でフォント固定による見えにくさ対策をしてあります。
岡野:ついでにと言っては何ですけど、わたし、また見えなくなって、今の画面だともう厳しいって感じ…。
岩渕:それでしたら、ちょっとインタビューを中断して、画面の「DPI設定」を変えてみましょう。
「画面のプロパティ」→「設定」→「詳細設定」とたどると「DPI設定」の中に「カスタム設定」がありますから、大きさの割合を150%にしてみますね。
岡野:これなら見えそう!
岩渕:岡野さんのパソコンの設定を変えながら思ったのですが、岡野さんに限らず進行性難病が原因の障害者へのサポートの場合、いったん設定したとしても、症状が進めばその設定では操作できなくなるかもしれません。今は見えていて操作ができているかもしれませんが、見えにくくなったり操作ができにくくなったりしたときにはまたサポートの依頼をしてもいいことを、サポートの依頼を繰り返してもいいことを、最初の時点で伝えておくことが必要だと思いました。目や身体に負担のかかる無理な操作を続けることで「二次障害」を引き起こしては元も子もないからです。特に、岡野さんのように、無理でも続ける「努力型」の人は (笑)
岡野:(笑)