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ウェブアクセシビリティ向上への道 - だれもが使えるサイトを目指して -
No.09 CMS導入検討の秘訣

[ 月刊『広報』 平成18年4月号掲載 ]

執筆担当
目次 徹也
(めつぎ てつや)


行政の広報担当者に役立つ実務記事などを中心とした行政広報専門誌、 月刊『広報』 で連載している「ウェブアクセシビリティ向上への道 – だれもが使えるサイトを目指して -」の記事を、日本広報協会様のご好意により、転載させていただきます。

これまでの連載内容を踏まえ、アクセシビリティに関連したより具体的なテーマについてご紹介していく予定です。今号は、昨今注目されているCMS (注1) の導入効果と注意点について解説します。

CMSへの期待と不安

平成16年6月20日のウェブアクセシビリティのJIS規格 (注2) 制定、地域住民のリテラシー向上とウェブサイト活用の進展等に伴い、公共機関ウェブサイトに求められる機能と品質は、より広く高度にならざるを得なくなってきています。

これらを解決するための有効なツールとして、CMSへの期待が高まっています。期待が大きすぎるあまり、CMSを導入すればアクセシビリティやユーザビリティの向上から緊急情報発信対応まで、すべてが解決すると思われている方が少なからずいらっしゃるように思います。確かにCMSをうまく活用することによって得られる効果は、特に情報発信者にとって大きな価値があります。

ここ数年でCMS製品の数が増加し、各公共機関のウェブサイト担当者は、CMSを検討する際にどのような基準で選定すればよいか悩まれている方も大勢いらっしゃいます。現在抱えているウェブサイトに関する課題、問題に対し、CMSを活用して解決できそうに思えるが本当にそうなのか、もしそうだとしたら何を選んだらよいのか、そしていったいいくらくらいの費用が必要なのか、導入までにどのくらいの期間と作業工数が必要なのか、と悩みは尽きることなく出てきます。これらの悩みに少しでもお役に立てればとの思いで、参考になりそうなお話を進めていきます。

高い導入効果を得るための諸条件

CMSは、所詮ウェブサイトの運用・管理のツールでしかありません。従ってどんなウェブサイトでも簡単に導入効果が得られるとは限りません。最も導入効果が高いのは、「CMSの導入効果を得るための整備項目」にある七つの項目について整備されている場合といえます。

CMSの導入効果を得るための整備項目
  1. ウェブサイトの目的の明確化
  2. ウェブサイト作成基準の整備
  3. 作成基準について定期研修
  4. コンテンツ分類の明確化
  5. 統一したナビゲーション機能
  6. カテゴリーごとのデザイン統一
  7. ワークフロー運用

これら七つの項目を整備されているところは、CMSを導入する必要がないのではと思われるかもしれませんが、これらが整備されていれば、CMSを簡単に導入することができ、コンテンツ作成・承認にかかわる方の作業工数は大幅に削減され、コンテンツ公開までの時間短縮も図られる可能性が高いといえます。

一方、これらを整備しないままにCMSを導入した場合、CMSが持っているたくさんの有効な機能を生かすことができないだけでなく、システムの制約に煩わされるだけというマイナスの結果を招く可能性があります。そうなると、かけた費用と工数の無駄だけでは済まされません。

導入検討に際してやるべきこと

それでは前項で述べた7項目が整備されていなければCMSを導入すべきではないかというと、決してそうではありません。CMS導入検討をされる際に、各項目について、どのくらい整備されているかという現状を知ることが重要です。整備されていない項目があれば、CMSの導入検討と平行して、あるいはCMS導入作業と平行して、それらを準備することも可能です。

もし、CMS導入作業の一部または全部を外部に委託する場合は、(1)から(7)の作業についても一部外部委託することがあるかもしれません。その場合は、提示する仕様が重要になってきます。

このテーマについて、詳しくはアクセシビリティ専用サイト「A.A.O.」の中で紹介しているWAKABA(わかば)アクセシビリティ確保標準手順 (注3) を参照してください。

アクセシビリティ面での導入効果と注意点

CMSの主な機能と期待される効果については、下の[表1]を参照してください。

表1 CMSの主な機能と期待される効果
  〔作成者〕 〔閲覧者〕
(1)ワークフロー機能、スケジュール管理機能 コンテンツの更新、削除が簡単になり、情報の鮮度を楽に高め、必要のなくなった情報を楽に削除できる。 最新情報をタイムリーに閲覧することが可能となる。
(2)テンプレート機能 HTMLの知識、オーサリングツールの高度な機能を習得することなく平易に少ない工数でコンテンツを作成することができる。テンプレートの作り方によっては、アクセシビリティに対応したページを作成することが出来る。 ウェブサイト全体のデザインの統一感ができ、ナビゲーションの一貫性があることにより使いやすく、見やすくなる。 どのページでもアクセシビリティ対応のレベルが同じになるため使い易い。
(3)緊急時対応 告知すべきコンテンツさえ用意できれば、あらかじめ決めておいたトップページの掲載箇所に速やかに載せることができる。 早く情報を得ることができる。災害発生時はこれがもっとも重要。
(4)携帯電話対応 携帯電話用のページを別途作成する必要がなくなる。 PC環境で得られる情報と同等の必要な情報がPC環境で得られるタイミングと同時に得られる。
(5)その他 RSS機能、アンケート機能、掲示板機能、メルマガ機能等、閲覧者と作成者、閲覧者同士のコミュニケーション強化に繋がる機能を活用することも出来ます。

アクセシビリティ対応については、テンプレートの作り方次第でそれなりの効果を得られると思いますが、それはCMSの機能ではなくテンプレートをどのように作るかにかかわることです。私の知る限り、ウェブアクセシビリティのJIS規格に適応するための機能を有するCMSパッケージソフトは今のところないと思います。また、テンプレートがアクセシビリティ対応になっていたとしても、そこに書き込まれるコンテンツ自体が問題になることもあります。

更新前にアクセシビリティチェックを行う機能を有しているCMSパッケージソフトもあるようですが、まだ限られたチェックしかありません。また、そのチェック機能も運用の中で有効に機能するものでなければ何の意味もありません。もしCMSに多少なりともアクセシビリティに関する対応機能を期待するのであれば、その範囲を明確にしておくことが重要です。

CMS導入検討時に導入後のことを考える

CMS導入の効果を上げるために必要なのは、導入後の運用について十分に検討することです。運用体制を十分に整えることができないのに機能ばかりを追及した場合、CMSの導入効果が得られないどころか、かえって閲覧者の期待を裏切る結果を招きかねません。

CMS導入によりウェブサイトの機能を向上させていくためには、用意できる体制に見合う運用を導入以前から確認し、運用可能な機能から徐々に公開していくことも、賢い導入立上げ方法といえます。

注1 CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
ホームページなどの制作から運用までを、効率的に管理するためのシステムの総称。複数の業者から多数の製品が提供されている。システムが管理する範囲や実現機能には、製品により様々な違いがある。
注2 ウェブアクセシビリティのJIS規格
ウェブアクセシビリティの配慮を求める日本工業規格。正式名称は、JIS X 8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針 ― 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス ― 第3部:ウェブコンテンツ」。
注3 WAKABA(わかば)アクセシビリティ確保標準手順
アライド・ブレインズ株式会社の推奨するウェブアクセシビリティ確保のための手順。A.A.O.サイト内で公開中。制作や検討を外部委託する場合の参考になる。(提供終了)

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