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防災・災害情報のウェブアクセシビリティ

[ 2005年11月15日 ]

米田の写真執筆担当
米田 佳代
(よねだ かよ)


本コラムは、行政広報専門誌 月刊『広報』 の2005年11月号掲載記事「伝わりやすさを考えた情報掲載の準備を行う - 防災・災害情報のアクセシビリティ -」の原稿に加筆・修正したものです。

利用者不在の防災関連情報

2005年4月、アライド・ブレインズでは全国47都道府県ホームページに掲載されている防災情報のアクセシビリティを調査しました。その結果、多くの都道府県で何らかの基本的なアクセシビリティ上の問題があり、中には、視覚障害者が音声読み上げソフトで利用した場合に、全く防災情報を得られない状態にあるなど、情報伝達に極めて重大な問題があるホームページもあることがわかりました。

これまで弊社では、様々な自治体のホームページを対象にアクセシビリティ診断を行いました。その際、防災情報に関して見られた代表的な問題点をご紹介します。

  • ある県の防災情報ページは、ページ内のほとんどの情報が画像化されている上、その画像に全く代替テキストが入っていませんでした。そのため、音声読み上げソフトの利用者には全く防災情報が伝わりませんし、どのリンクを選択すればよいのかもわかりません。弱視や高齢者の方にとっても、文字が画像化されているので、ブラウザの設定変更で文字サイズを変更できず、使いづらいページとなっています。
  • ある県は、災害時用の伝言板システムをホームページ上で提供しています。これは、プルダウンメニューでメニュー項目を選択するとリンク先に移動するようなを仕組みになっていますが、実行ボタンが用意されていないため、キーボードでは操作することができません。さらに悪いことに、このシステムへの入口が県下の各自治体のトップページにも設置されているため、どの自治体のホームページでも利用することができません。
  • ある町では、情報量の多いトップページの中で防災情報を目立たせようと、赤い背景色に青い字で「防災情報」というリンクを張っていました。この色の組み合わせは非常にコントラストが低く、色覚障害の方や、白黒画面で利用している方に見づらい可能性があります。また他の自治体では、青い背景色に赤い文字で防災ページへのリンクを張っていましたが、これも同様です。

このような問題は、ページの公開前にチェックツールで点検したり、システムの企画・開発段階で障害者・高齢者ユーザの方に試用していただくなどしていれば、発見できた問題です。JISが制定されてまもなく1年半となりますが、防災情報ページでは、まだまだ取り組みが充分でないことがうかがえます。

日ごろから備えておきたい三つのポイント

ここまでは、既存のホームページの防災関連情報についての問題点についてをご紹介しました。ここからは、万が一の場合の情報発信について考えてみたいと思います。

被災地住民の安全に関わる、極めて緊急性の高い情報を発信する際には、障害者や高齢者を含め誰にでも情報が伝わりやすいということに加え、いかに迅速に対応できるかといった運用面の備えも重要です。日頃から最低限取り組んでいただきたい三つのポイントをご紹介します。

第一に、伝わりやすさを考えた情報掲載の形式を考えておくことです。企業のホームページ等で、不祥事が発生した際に、お詫びの文章を、印刷物の画像やPDFファイルだけで提供している例がよく見受けられます。一刻も早い情報提供のためにこのような対応をとってしまったのかもしれませんが、音声読み上げソフトの利用者や外出先から携帯電話で情報を取得したい人などにも伝わりやすいように配慮することが重要です。

第二に、緊急時の情報入手から掲載までの手順を確立しておくことです。福岡県西方沖地震の直後に近隣各県のホームページを確認したところ、トップページで即座に災害情報を掲載していたのはわずか1県でした。普段、ホームページの情報更新の際には、原稿を作成し、決裁をとり、HTML化し、公開するなどの一連の流れが自治体ごとに決められていると思います。災害時にもこの手順で即時に情報発信ができるのか、平日夜間や休日は誰がどんな手順で対応するのか等の手順を確立しておくことが重要です。最近では、災害発生時にトップページを災害バージョンに差し替えられるシステムを導入している自治体もあります。この場合も、システムで切り替えられるから安心という問題ではなく、切り替えの手順を明確に決めておく必要があります。

第三に、日頃から即時対応に備えた訓練を行っておくことが、いざというときの安心につながります。たとえ対応手順を決めてあっても、災害発生直後に手順をいちいち見直している余裕はありません。また、実際に訓練を行うことによって、手順が適切かの確認にもなるでしょう。

利用者の立場に立ったアクセシビリティ配慮を

各地で相次いだ大地震により、被災地域及び遠隔地の関係者に対する情報提供の媒体として自治体ホームページの重要性が注目されています。誰にでも防災情報が取得できるか、誰でも防災情報を得るため操作できるかどうか、まずは障害者や高齢者の立場になって既存のホームページを見直してみていただきたいと思います。それと同時に、万が一の場合に誰にでも情報が伝わりやすいかを考えた情報発信の仕組みも重要です。

防災・災害関連コンテンツのような、住民の安全に関わる情報こそ、利用者の立場にたった一層のアクセシビリティ配慮が求められるのではないでしょうか。

都道府県ホームページの情報伝達度調査
【調査対象】 全国47都道府県公式ホームページのトップページ、及び防災関連ページの合計各2ページ
【調査期間】 2005年4月7日から26日まで
【調査・分析方法】 対象ページをアライド・ブレインズのアクセシビリティコンサルタントが、Microsoft Internet Explorer6.0、及び情報伝達度チェッカーVer.4.3(アライド・ブレインズ提供)を用い調査。アクセシビリティの基本となる5項目「ページタイトル」「画像の代替テキスト」「リンク文章」「表組みの指定」「見出し要素の指定」が適切であるかを点検・評価。

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