スマートフォン・タブレットの可能性 iPadは弱視者の生活を変えられるか?
第2回:iPadによって私の日常生活はどう変わったか?
[ 2012年10月1日 ]
寄稿
Cocktailz
伊敷 政英さん
先天性の弱視の視覚障害を持つ立場から、ウェブアクセシビリティに関する調査や講演、iPad講師などを行っているCocktailz(カクテルズ)の 伊敷政英さんの連載「iPadは弱視者の生活を変えられるか?」の第2回です。
iPadによって日常生活はどう変わったか?
前回のコラム「第1回:弱視者の日常生活とIT」では弱視である私の見え方と、IT利用、外出、読み書きといった日常生活の様子をご紹介しました。その中で、
- 携帯電話はどこでも気軽に使えて便利だが、画面が小さいため地図などが見えない。
- 外出先で喫茶店や郵便局などを探すことが難しい。
- 読書には拡大読書器を使う必要があり、気軽な読書が難しい。
といった日常生活での不便についてお話ししました。今回のコラムでは、このような不便が、iPadの登場によってどのように変わったのかをお話ししていきます。
iPadとの出会い
私がiPadを初めて触ったのは2010年10月ごろです。最初に触れた時の印象は「確かに便利そうだけど、ちょっと重いなあ。それに画面上に表示されているソフトキーボードでの文字入力は慣れるまで大変そうだな。」というものでした。
しかし、実際に使ってみると便利なことがいろいろと出てきました。たとえば、寝ころがったまま動画サイトYouTubeが見られること。それまでYouTubeを見るには、椅子に座って、机の上に置いてあるパソコンに顔を近づけて、まるで仕事をしているかのように見ていましたが、仕事部屋ではなくリビングで寝転がったまま見られる。「お、これは楽しいぞ。」と感じて、趣味のドラムに関する動画を夢中で見たのを覚えています。
またTwitterやFacebookといったソーシャルメディアを利用しやすくなったと感じました。これまで携帯電話でTwitterやFacebookを使っていましたが、携帯版はPCでのサービスと比べて機能が限定されており、検索しづらい、ハッシュタグが使えないなどの不便がありました。しかしiPadからであれば、PCと同じ機能を使えて、さらに携帯電話と比べると画面が大きいので、ソーシャルメディアでのコミュニケーションをストレスなく楽しんでいます。