連載「JIS X 8341-3改正動向と公共機関HPに必要な対応」
第15回「公共機関で進む、JIS改正を見据えたアクセシビリティ対応」
[ 2026年10月23日 ]
執筆担当
米田 佳代
(よねだ かよ)
JIS X 8341-3の改正を見据え、多くの公共機関が既に新しい基準への対応を進めています。本コラムでは、先行する公共機関の取組をもとに、今から取り組むべき準備をご紹介します。
JIS改正への対応、準備は今から
ウェブアクセシビリティのJIS規格「JIS X 8341-3」の改正に向けた検討が進んでいます。9月末に開催された、総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン改定に関する研究会」の第2回会合では、現時点では来年9月または10月の改正が見込まれるとの情報が共有されました。
では、公共機関のホームページは、JISが改正されてから対応を始めればよいのでしょうか。
総務省ガイドラインは、改正公示に先立ち取組を推進することを求めている
総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」では、JIS改正公示に先立って、改正で追加が見込まれる新しい基準への対応を、できる限り推進することが求められています。
今回のJIS改正は、ウェブアクセシビリティの国際標準である「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.2」と同内容の国際規格「ISO/IEC 40500:2025」との一致規格とする方針で検討が進められています。WCAG 2.2は2023年にW3C勧告として公表され、多くの国々で既に広く用いられている基準です。JIS改正により追加が見込まれる基準の内容は、3年ほど前から明らかになっているのです。
弊社がご支援している公共機関の中には、2023年度という早い時期からJIS改正を見据えた対応を始めた団体があり、2024年度、2025年度、2026年度と対応団体が増加しています。
どのような対応が行われているか
既にJIS改正を見据えた取組を始めている公共機関では、具体的にどのようなことを進めているのでしょうか。弊社がご支援を担当している事例から、主な取組をご紹介します。
(1)新しい基準に基づく試験・検証
JIS改正により、「達成基準4.1.1」が廃止される以外は現在の基準は引き継がれ、「JISの適合レベルAA準拠」に必要な基準は、現在の38項目から55項目に増える見込みです。
JIS X 8341-3:2016に基づく試験に加え、WCAG 2.2までに追加された基準についても検証を行います。現在のホームページに、新しい基準ではどのような問題があるのかを把握し、今後の改善計画につなげることが重要です。まずは数ページだけ新基準で検証してみる、という始め方をしている団体もあります。
(2)アクセシビリティガイドラインの更新
各団体で作成しているアクセシビリティガイドラインに、WCAG 2.2までに追加された基準の内容を追加します。あわせて、現在の記述について、技術や利用環境の変化を踏まえて古くなっている箇所を洗い出し、見直しを行います。
(3)職員研修での解説
職員研修で、JIS改正に向けた動向や、新しく追加が見込まれる基準について解説します。特に、職員が日頃ページを作成・更新する際に関わる内容を取り上げ、実務での対応につなげます。
(4)リニューアル時の検証
ホームページのリニューアルでは、HTMLのひな型ができた段階や、ページを移行する段階などで、JIS X 8341-3:2016に加え、WCAG 2.2までに追加された基準についても検証を行います。リニューアル過程で問題を把握し修正することで、公開後の手戻りや改修費用の発生を防止します。
今から取り組むことで、改正後の負担を減らし、余計な費用の発生を防ぐ
JISが改正されてから対応を始めようとすると、現状の把握、改善計画の検討、ガイドラインの更新、職員への周知など、多くの作業をまとめて進めなければならなくなります。
まずは情報を収集する、新しい基準の検証を実施するなど、それぞれの状況に応じて、今からできる取組を始めてはいかがでしょうか。
早めに準備を進めることは、改正後の負担を減らすだけでなく、現在ホームページを利用している方々にとっての使いやすさの向上にもつながります。
アライド・ブレインズでは、JIS改正で追加される達成基準や、それに伴い必要となる対応について、引き続きコラムやセミナーにて解説予定です。ぜひご活用ください。
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