連載「JIS X 8341-3改正動向と公共機関HPに必要な対応」
第13回「JIS改正で増える色のチェックポイント」
[ 2026年7月8日 ]
執筆担当
米田 佳代
(よねだ かよ)
ウェブアクセシビリティの日本産業規格「JIS X 8341-3:2016」の改正が近づいてきました。本コラムでは、改正により追加される見込みの色の基準とその対応について解説します。
JIS改正でAA準拠に求められる基準が1.4倍に
近い将来予定されているJIS改正では、現在の基準に新たな達成基準(ホームページ等の作成に関する基準)が追加され、「適合レベルAA準拠」に求められる達成基準の数は、現行の約1.4倍に増加する見通しです。
現在のJIS X 8341-3:2016では、色に関する基準として、「達成基準1.4.1 色の使用」や「達成基準1.4.3 コントラスト(最低限)」などがあります。このうち、達成基準1.4.3では、文字の色と背景色とのコントラストを十分に確保することが求められています。具体的には、チェックツールなどを用いて、文字色と背景色とのコントラスト比が4.5:1以上であることを確認する必要があります。JISが改正されると、これらに加えて、達成基準1.4.11「非テキストのコントラスト」への対応も必要になるので注意が必要です。
色の基準が追加:達成基準1.4.11「非テキストのコントラスト」とは
達成基準1.4.11では、「ユーザインタフェース コンポーネント」や「グラフィカルオブジェクト」について、隣接する色とのコントラスト比を3:1以上確保することが求められます。
特に注意したいのは、各部署の職員がこれまで作成・公開してきた、グラフ(例:折れ線グラフや棒グラフの色や目盛り線の色、円グラフの隣り合う各領域の色)、地図、手続きやサービスの流れを説明する図、文字を伴わないアイコンなども対象となることです。
さらに、検索ボックスや入力欄の枠線、画像の切り替えや一時停止・再生などの操作ボタン、メニューを開閉する「+」「-」ボタンなどの利用者が操作できる箇所も対象です。対象は多岐にわたり、ホームページ全体にわたって確認が必要となります。これらの色について、背景色や隣接する色とのコントラスト比を3:1以上確保することが必要になるのです。
こうした操作部分やグラフィックのコントラストが不足していると、弱視の方などは、コンテンツの機能や意味を理解したり、操作したりすることが難しくなります。
JIS改正を見据えた準備は必須
達成基準1.4.11の追加により、確認すべき対象は文字だけではなく、職員がこれまで作成してきたグラフや地図などに加え、検索ボックスやボタンなどにも広がります。そのため、問題箇所はホームページ全体に数多く存在する可能性があり、確認・改善には相当な時間を要することが想定されます。
これらの改善は、ホームページの運用保守事業者やリニューアル事業者だけで対応できるものではありません。ホームページ担当の皆様は、新しい基準を理解し、まずは自団体のホームページにどのような問題があるのかを把握することが重要です。問題箇所や影響範囲が分からなければ、改善計画や必要な予算、スケジュールを検討することもできません。改正後に慌てることのないよう、早い段階から現状把握と改善計画の検討を進めておくことが求められます。
また、ホームページのリニューアルを予定している団体は特に注意が必要です。リニューアルの取組期間中またはリニューアル公開直後にJISが改正される可能性があるため、リニューアル後に追加対応や手戻りが発生しないよう、総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン2024年版」を踏まえ、新しい基準に基づいた専門性のある第三者による検証をリニューアル計画の段階から予定しておくことが重要です。
アライド・ブレインズでは、JIS改正で追加される達成基準や、それに伴い必要となる対応について、引き続きコラムやセミナーにて解説予定です。是非ご活用ください。
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